がん患者のアンメット・メディカルニーズに取り組むソレイジア社 ソレイジア社のラインアップは

がんは2人に1人がかかる時代といわれています。あなたのそばにもがんと闘っている方はいないでしょうか。がんに対しては、さまざまなアプローチから世界中で研究・開発が行われています。

このようななかから、日本及び中国を中心とするアジア諸国をターゲットに「アンメット・メディカルニーズ」に応えることを目的に設立した創薬メーカー「ソレイジア・ファーマ株式会社(以下ソレイジア社と記載)」について取り上げてみましょう。

※アンメット・メディカルニーズとは、現在、有効な治療方法が確立されていないもしくは治療方法が限られている疾病に対しての新たな治療への必要性への期待のことを指します。

[ソレイジア社の目指すものは]

ソレイジア社は、2006年12月にアメリカに医薬品開発事業の準備拠点として「JapanBridge Inc.」を設立。現ソレイジア社であたる「バジャカラ株式会社」を2007年1月に設立。

写真はイメージです。 photo by photo-ac

2008年04月に、JapanBridge Inc.がバジャカラ社を買収して「ジャパンブリッジ株式会社」に改称、2008年09月に現社名「ソレイジア・ファーマ株式会社」に改称。

2014年12月には、中国上海に子会社を設立、2017年03月に東京証券取引所マザーズに株式上場、2018年12月に中国での販売活動を目的として広州に事務所を開設しています。

ソレイジア社は「がん」をターゲットしています。多くのがん患者さんへ「より早く、より良いもの」を提供することで、がん領域におけるアンメット・メディカルニーズに向き合っていくことをビジョンにしています。

世界中の医薬品やバイオテクノロジー企業からがん治療にとって有望であると考えられる製品候補を導入して、国際共同治験を含む積極的な開発戦略を展開するなど短期間で承認を得ることをビジネスモデルとしています。

ソレイジア社の資産状況、売上高は

総資産額82億3300万円、総負債額2億5800万円、時価総額178億1900万円。2017年12月期の売上高は4億1千万円、経常利益は▲10億1千万円、2018年12月度の予想売上高は3億5000万円、経常利益▲31億円です。

※2018年12月度の経常利益が前期よりマイナス幅が大きくなったのは研究開発費の増加によるものです。

[ソレイジア社の最初の製品はエピシル口腔用液]

ソレイジア社の最初の製品は、2018年5月に販売を開始した「エピシル口腔用液(開発コード:SP-03)」、国内販売元は「Meiji Seika ファルマ」社です。

エピシル口腔用液は、がん化学療法や放射線療法における重篤な副作用のひとつの口内炎による疼痛を緩和する医薬品です。

抗がん剤の副作用の発現時期 photo by 倉敷成人病センター

口内炎は、放射線療法を受ける頭頸部癌患者さんのほぼ100%、がん化学療法中の患者さんの30%~75%と多くの患者さんに出現するといわれています。

「食べること、飲み込むこと、話をすること」などが痛みにためにできないといった障害を引き起こし、患者さんのQOL低下の大きな要因のひとつです。

エピシル口腔用液は、口腔の粘膜に適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になって物理的なバリアを形成し、舌や食べ物が口内炎に触れた際の刺激を抑えるというものです。

その効果は最長で8時間継続し、持ち運びができるように噴射式のポケットサイズになっています。

SP-01は、2015年3月にスウェーデンの「Camurus AB」社から日本および中国での独占的開発販売権を取得した医薬品で欧米ではすでに販売されています。

2016年11月に日本での販売権を「Meiji Seika ファルマ」社に導出。2017年02月に中国(北京、広州、上海除く)での独占的販売権を「Lee’s Pharma(HK)Limited」社に導出。2018年3月には韓国での独占的開発販売権を取得しています。

中国では承認審査中で2019年上期までに販売開始予定、韓国では承認申請準備中です。中国の北京、広州、上海では自社販売を計画しています。

ソレイジア社が、エピシル口腔用液に引き続いて投入を予定している医薬品をみていきましょう。

[ソレイジア社の3つのパイプライン]

◇SP-01(商品名:サンキューソ)

SP-01は、がん化学療法における「悪心・嘔吐」をコントロールする経皮吸収型製剤です。

悪心・嘔吐は、がん化学療法(抗悪性腫瘍剤)の投与を受ける患者さんにとって大きな苦痛を伴う副作用のひとつです。

写真はイメージです。 photo by photo-ac

悪心・嘔吐がコントロールできないと「脱水症状、栄養障害、誤飲性肺炎」などといった合併症を引き起こして患者さんのQOLを大きく低下させ、時間の経過とともに憎悪することも知られています。

SP-01は、制吐作用をもつグラニセトロンを最大5日間にわたって持続的に放出するよう設計された経皮吸収型製剤です。

グラニセトロンは、中枢神経系にあるセロトニン受容体のひとつで「神経興奮、不安、嘔吐」に関与する「5-HT3」に作用して受容体の作用を阻害する受容体拮抗薬です。

※セロトニンは、わたしたちのからだの「生体リズム、神経内分泌、睡眠、体温調節」などの生理作用に関与する重要な物質です。セロトニンを取り込むための「セロトニン受容体」は15種類あって、それぞれのセロトニン受容体で役割は異なります

グラニセトロンを経皮吸収型製剤にすることで安定した血中濃度を維持することが可能です。すでに、点滴静注液などとして欧米やアジア諸国などで販売されていますが、現時点で経皮吸収型製剤としてはSP-01のみです。

2008年05月にイギリスの「Strakan International Ltd」社より日本と中国などのアジア諸国の独占的開発販売権を導入(日本についてはのちに返還)。2010年02月にSP-01の中国以外のアジア諸国の独占的開発販売権を「協和発酵キリン株式会社」に導出。

2015年11月に中国での独占的販売権(北京、広州、上海除く)を「Lee’s Pharmaceutical (HK) Limited」に導出、2017年9月に伊藤忠商事と中国(北京、広州、上海)での販売代理店契約を締結。

SP-01のターゲットは中国市場で、中国では新薬の承認申請はおりていて2019年に販売開始予定です。

◇SP-02

SP-02は、再発、難治性末梢性T細胞リンパ腫の治療薬です。

「末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」は悪性リンパ腫のひとつです。悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられ、非ホジキンリンパ腫は大きくB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫に分けられます。それぞれのリンパ腫は病態によってさらに細分化されます。

T細胞 photo by wikimedia

末梢性T細胞リンパ腫はT細胞リンパ腫のひとつです。患者数は日本では約2,000人程度と推定されています。

月単位で病気が進行する「中悪性度のリンパ腫」に分類されるために早期に治療を開始することが大切になります。

末梢性T細胞リンパ腫は4つの病型に分類されます。若年層の発症が多い「ALK陽性未分化大細胞リンパ腫」は治療がよく効いて予後はよいとされていますが、高齢者に多いほかの3つの病型は、悪性リンパ腫の代表的な薬物療法である「CHOP療法」で治療しても約4人1人が難治性、約2人に1人は再発するといわれていて予後がよいものではありません。

※CHOP療法は悪性リンパ腫の代表的な化学療法です。3 種類の抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)に副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)を組み合わせた治療方法です。CHOP療法にほかの薬物を組み合わせた治療をおこなうことも増えています。

SP-02は、アメリカの「ZIOPHARM Oncology, Inc.」社が研究・開発した血液がんおよび固形がんの治療のために開発が進められている新規のミトコンドリア標的薬剤(有機ヒ素化合物)です。

※ミトコンドリア標的薬剤とは、細胞内のミトコンドリアは生命活動の根源を担う重要なエネルギー生成装置の役目を持っています。ミトコンドリアのさまざまな機能異常がさまざまな疾患を誘発することが報告されています。これらのことからミトコンドリアを標的とした医薬品があたらしい疾患治療法を提供する次世代医薬品として期待されています。

ソレイジア社は、「ZIOPHARM Oncology, Inc.」社から2011年3月にアジア太平洋地域、2014年7月に欧米の独占的開発販売権を導入。独占的販売開発権について2015年1月に日本において「Meiji Seika ファルマ」社へ、2018年8月に南米8ケ国においてコロンビアの「HB Human BioScience SAS」社へ導出しました。

SP-02は、「日本、韓国、台湾、香港」で臨床試験第Ⅱ相最終臨床試験実施中、中国で臨床試験第Ⅱ相およびⅢ相最終臨床試験準備中、アメリカで前期第Ⅱ相臨床試験完了、ヨーロッパで前臨床試験完了という状況です。

「日本、韓国、台湾、香港、中国」での臨床試験結果を2019年中に公表予定、2020年に承認申請予定です。試験結果が良好な場合にはほかのがんへの適応拡大を図る計画です。

◇SP-04

SP04は、がんの化学療法の末梢神経障害を緩和する治療薬です。

がん化学療法は、さまざまな副作用を生じますが、末梢神経障害も重篤な副作用のひとつです。「手、足、口唇周囲部」などの異常感覚、呼吸困難、嚥下障害を伴う咽頭喉頭のしめつけ感、四肢末梢の「しびれ感、感覚低下、腱反射の低下、感覚性運動失調」などが現われます。

写真はイメージです。 photo by photo-ac

植物アルカロイド製剤やプラチナ製剤などのがん化学療法の主要薬剤において顕著に出現することが知られています。

とくに、手術が難しい進行性・再発性の大腸がんや大腸がん術後補助化学療法などで用いられるFOLFOX治療で使用されるプラチナ製剤の「オキサリプラチン」で患者さんの約90%は末梢神経障害が生じることが知られています。

薬剤の投与を中止すれば症状の改善もしくは治癒が望めますが、化学療法の中断や方針変更を余儀なくされるものです。いままでがん化学療法に伴う末梢神経障害に効能や効果がある薬剤はありませんでした。

末梢神経障害を引き起こす原因として、薬剤によって誘発された酸化ストレスに起因して神経細胞が損傷を受けることで発症すると考えられています。

SP-04は、細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素である「スーパーオキシドディスムターゼ類似物質」で、神経細胞を薬物誘発性の酸化ストレスに起因する損傷を保護する作用から末梢神経障害を抑制するが効果が期待されているものです。

ソレイジア社は、2017年11月に「日本、中国、韓国、台湾、香港、マカオ」での独占的開発販売権をスウェーデンの「PledPharma AB」社より導入しました。

SP-04は、「日本、韓国、台湾、香港」で臨床治験第Ⅲ相実施中です。これは導入元である「PledPharma AB」社がアメリカおよびヨーロッパで臨床治験第Ⅲ相実施中の国際共同治験に参画する形になっています。中国では臨床治験第I相実施準備中です。

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ソレイジア社の製品は、開発中のものを含めて三つの薬品はがんの治療による副作用を抑えるための支持療法に使用されるものです。

どのようながんでもいろいろなストレスを伴います。がん治療の副作用もストレスの大きな要因のひとつです。

支持療法によってがん治療におけるストレスを少しでも軽減することで、患者さんが「がん」へ前向きに取り組むことができることにつながるといいですよね。ソレイジア社の今後の新たなラインアップが期待されるのではないでしょうか。

 

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