ヒポクラテスから赤ひげまで | ページ 69

ブロックチェーン技術を応用した医療分野への取り組み

  2016年3月にグーグル傘下の人工知能研究部門であるグーグル・ディープマインド社が開発した囲碁の人工知能「アルファ碁」が「世界最強の棋士」といわれる韓国のイ・セドル九段に勝ち越したのは記憶にあたらしいです。 驚異的な学習能力を持ち、自動運転技術など先進分野で大変革を起こすと期待されている人工知能が、医療分野に活用され始めています。 Continue Reading ->

難病指定の脂肪萎縮性糖尿病一亜系の治療に成功

珍しい病気のお話しです。珍しいっていう病気と聞くあまり関係ないのかなと思うかもしれませんが、お話しに付き合ってください。 日本は、約45年前に難病に係る法律を定め、世界で初めて難病(NAN-BYO)を研究対象とした先進国です。 厚生労働省は、「症例が少なく原因不明、治療法が確立しておらず、生活面で長期に支障をきたすおそれがある疾患」を難病に指定し、現在330の難病が指定されています。 そのうちの1つ脂肪萎縮症に関する報告です。 そもそも脂肪萎縮症とは 脂肪萎縮症は先天的あるいは後天的に、脂肪組織が全身あるいは部分的になくなり、萎縮することでさまざまな症状を引きおこす病気です。 思春期以降に糖尿病、脂質異常症、脂肪肝の症状が目立ちはじめ、時間経過とともに腎臓や目の網膜に障害を呈してくることがあります。 皮下注射によるレプチン補充療法が有効な治療法でしたが、高価であること、皮下脂肪がないことによる注射時痛があり、治療継続が困難な場合がありました。 先天性全身性脂肪萎縮症に新たな治療法 4月4日、東北大学病院糖尿病代謝科の今井淳太講師、川名洋平医師、片桐秀樹教授らのグループは先天性全身性脂肪萎縮症に対して、SGLT2阻害薬であるイプラグリフロジンを追加投与したところ、脂肪肝が減少し、糖尿病、インスリン抵抗性が著明に改善したと報告しました。 ナトリウム・グルコース共役輸送体の図 黄色がナトリウム、橙がグルコース photo Continue Reading ->

セロトニントランスポーター遺伝子とうつ病は関係していない

毎朝の満員電車、失敗できない仕事、人間関係など、日々の生活の中でストレスを感じることは多いと思います。 「ストレスを感じると甘いものを食べたくなるのは脳の中のセロトニンが不足するからだ」 と聞いたことがある人も多いかと思いますが、今回、セロトニンとうつ病の関係を大きく見直すことになる研究結果が発表されました。 セロトニントランスポーター遺伝子とうつ病に関係性なし うつ病の患者さんに「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」と呼ばれる抗うつ薬を投与すると、うつ病の症状を緩和できることから、これまで多くの研究者たちは「セロトニントランスポーター遺伝子がうつ病の発症リスクと関連している可能性が高い」と考えていました。 しかし、過去10年あまりのデータをワシントン大学医学部の研究者たちが分析したところ、セロトニントランスポーター遺伝子とストレス、うつ病に明確な関係性を認めませんでした。 今回間違いを指摘された論文は、2003年から現在まで4000回以上も引用されています。 この研究論文を引用した「セロトニントランスポーター遺伝子」「ストレスのかかる生活習慣」「うつ病リスクとの関連性」といったテーマの論文が100件以上発表されたことが原因と考えられています。 今後のうつ病の治療に変化が 今回の研究では、これまで考えられてきた「セロトニントランスポーター遺伝子がうつ病と関係している」ということを否定していますが、「ストレスとうつ病は関係していること」「遺伝学がうつ病に関係していること」は分析からも明らかです。 特定のセロトニントランスポーター遺伝子がうつ病と関係ないという研究結果が出されたことで、「うつ病発症に影響を与える可能性のある他の遺伝子や環境に焦点を当てることができるようになる」と考えられています。 参照:Nature Continue Reading ->

記憶の仕組みに新たな発見 海馬から大脳皮質への記憶固定化の経路が一部明らかに

写真はイメージです。 photo by Andreas März 「去年行った隣町の遊園地楽しかったなぁ」 「昨日受けた試験むずかしかったなぁ」 こういった個人が経験した出来事に関する記憶をエピソード記憶といいます。エピソード記憶には、時間や場所、そのときの感情が含まれます。 今回、エピソード記憶はどのように定着していくのか、そのメカニズムの一部(原文英語)が明らかになりました。 エピソード記憶には前頭前皮質と扁桃体の関わりが 赤い部分が海馬 gif Continue Reading ->

再生医療のあらたな一歩 iPS細胞研究所で2種類目のiPS細胞ストックの提供を開始

photo by wikimedia commons 京都大学IPS細胞研究所が、2015年8月に提供を開始したiPS細胞ストックに続き、2種類目となる末梢血(採血した血)から作製したiPS細胞ストックの提供を開始しました。 再生医療の歴史から現在まで 再生医療のそもそもの歴史から解説します。そもそも再生医療はES細胞という研究から始まりました。 ES細胞とiPS細胞って似たようなものなの?と思うかもしれませんが、実は全く異なります。 簡単にいうと、ES細胞はできたばかりの細胞で、iPS細胞は分化した細胞からつくりだした細胞です。 内細胞塊からつくられるES細胞  具体的に説明します。まず、お父さんの精子とお母さんの卵子がくっつくと受精卵になります。 しばらく分裂をして数を増やすと胚盤胞期という時期になります。 胚盤胞期は内細胞塊、栄養膜、卵割腔の3つの部位からなります。この内細胞塊から作られた細胞がES細胞です。受精したできたばかりの細胞です。 画面みぎうえの塊が内細胞塊 分化した細胞からつくられるiPS細胞   赤色が遺伝子導入された細胞 photo Continue Reading ->