Preceyesが世界で初めてロボットを使用した眼科手術に成功

眼は、人間が物を認識するという大切な役割を果たしている器官です。器官自体が小さく非常に繊細なため、手術の際は医師に高い技術と精度が求められます。

今回、ロボットを使用した眼科手術が世界で初めて行われました。

オランダの企業Preceyesのロボットが使用された

現在、眼科手術は医師の熟練した技術と経験をもとに、全て医師の手で行われています。

網膜の繊細な性質や手術をする開口部の狭さを考えると、少しでも深くメスが入ってしまった場合は出血や瘢痕を引き起こし、 視覚障害の原因になる可能性があります。

今回の手術では、オランダの企業Preceyesが開発した眼科手術用のロボットが使用されました。

 

PRECEYES Surgical System

 

イギリスの病院で12人の患者が集められ、半分がPreceyesのロボットを使って手術が行われるグループ、もう半分が外科医のみで手術が行われるグループに分けられました。

網膜上の微細な膜の除去などを含む眼科手術が行われ、両グループとも手術に成功しましたが、ロボットを使ったグループの方が眼球へのダメージがはるかに少ないことが判明しました。

Preceyesの眼科手術用ロボットの特徴

ロボットは、7つの独立したモーターを持ち、ジョイスティックおよびタッチスクリーンによってロボットの手を操作し、手術を行います。

このロボットは、人間の動作ではむずかしい1ミクロン単位での動作も可能です。手術の際には、直径1ミリメートル未満の穴を出入り口にして眼球内外を出入りします。

厚さ約10ミクロン、人間の髪で例えると10分の1程度の薄さである網膜を傷つけることなく手術を行うことに成功しました。

今後への期待

今回の手術で、ロボット手術を受けた2人の患者は少量の出血があり、1人は手術中に網膜接触があったそうです。医師の手による手術を受けたグループでは、5人の患者に少量の出血があり、2人に網膜接触がありました。

今回研究チームを率いて手術を行ったオックスフォード大学の眼科教授ロバート・ e ・マクラーレン博士は、

「眼科手術にロボットシステムを導入することで得られる精度は長年外科医が夢見てきたが、実現するためにはあまりにも困難であった。今回の手術で、新しい外科的技術を有効にできるのではないか」と感想を述べました。

今後さらに研究が進み、網膜遺伝子治療や失明に対する治療にも応用されることが期待されます。

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