日本でもコデイン類を含んだ医薬品の小児への投与を禁止へ

風邪を引くと咳が出ることが多く、医療機関に受診するとよく、咳止め薬が処方されます。

咳止め薬には「中枢性鎮咳成分」と呼ばれる咳止め成分が含まれ、この中枢性鎮咳成分は「麻薬性鎮咳成分」と「非麻薬性鎮咳成分」の2種類に分類されます。

咳を早くしっかり止めるためには、麻薬性鎮咳成分の方が高い効果を発揮します。


写真はイメージです。 photo by Lee health

しかし、麻薬性鎮咳成分は12歳以下の小児に投与すると、まれに呼吸困難等の重篤な副作用を引き起こすことがあります。

日本でも海外でも、小児の重篤な副作用を防ぐため、麻薬性鎮咳成分の使用を禁止する動きがじっさいに広まっています。

アメリカで小児に投与が禁止されたコデイン類

麻薬性鎮咳成分の代表的なものに、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩があり、これらは総じて「コデイン類」と呼ばれています。

コデイン類は、咳に対して非常に高い効果を発揮しますが、いっぽうで小児に投与した場合は、まれに呼吸困難など重篤な副作用がでる可能性があります。

2017年4月、アメリカで12歳未満の小児にコデインの処方が禁止されたことから、日本でも12歳未満の小児にコデインの処方を禁止する取り決めが発表されました。

日本におけるコデイン類の処方実態

厚生労働省によると、日本ではコデイン類を含む市販薬はおよそ600種類あり、医師が処方する薬では65種類あると言われています。

市販薬を服用する場合、添付文書に「15歳未満の小児には保護者の指導、監督の下で服用させ、2歳未満の乳幼児については服用はやむをえない場合に限る」という内容が記載されています。

医師が処方する場合には、15歳未満の患者さんには、状態を見極めて少ない量から慎重に投与されています。

しかし、日本でも実際にコデイン類を服用したことによる重篤な副作用は確認されており、過去にコデイン類を含む市販薬を飲んだ幼児が呼吸困難におちいり、その後声を出すことができなくなってしまったということがありました。

この幼児の父親は「市販薬を飲んで命に関わる事態になるとは想像もしなかった。子どもからは笑い声も泣き声も出なくなってしまった。こうしたことが二度と起きないよう、国は対策を進めてほしい」と話していました。

こうした事態を踏まえ、厚生労働省の専門家会議で調査したところ、一昨年までの7年間にコデイン類を含む薬を処方された患者さんの少なくとも24人に、呼吸困難などの症状が出ていたことがわかりました。

2年後を目途に12歳未満への使用を禁止へ

厚生労働省は、「日本人は欧米人に比べて副作用が出やすい体質の人は少ないとされているが、重い副作用が生じるおそれを考慮して、12歳未満への使用を禁止することにした」と見解を発表しました。

具体的な期日としては、2年後の平成31年をめどに、市販薬も医師が処方する薬も12歳未満への使用を禁止するとしています。

全面的に禁止されるまでは、製薬会社を通じて、医療現場に注意を呼びかけていきます。


写真はイメージです。 photo by sketchport.com

国立成育医療研究センターの五十嵐隆理事長は、「コデインを含む薬によって、国内で重い副作用が出たケースは比較的少ないが、アメリカの対応を踏まえ、あくまで予防的な措置として12歳未満への使用を取りやめることにした」と話しています。

これまで日本で、コデイン類を服用したことによる死亡例はないものの、重篤な副作用が引き起こされたことがあるのは事実です。

安全かつ安心な薬剤により的確に症状が改善されるよう、安全な医療の徹底が求められています。

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