東京五輪にむけて アドホック通訳者とその問題点 

法務省の在留外国人統計によると2017年6月末には在留外国人数は、247万人で、観光庁の統計情報・白書によると訪日外国人旅行者数は、2016年にはじめて2000万人をこえました。国籍順では、中国が全体の約3割をしめ、以下韓国、フィリピン、ベトナム、ブラジルと続き、アジアの各国が上位をしめます。

外国人人材の積極的な活用や受け入れ、外国人観光客や医療ツーリズムの推進により、以前にくらべてずっと、外国の方の存在が大きなものとなっています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

それに伴い、そういった外国人居住者・滞在者にむけた医療の提供が十分であるかといった問題がでてきています。

外国人が日本で医療を受けるには

日本では、医療通訳者の国家資格はなく、医療現場で通訳をする人の訓練や研修は義務付けられていません。また。医療通訳専門の研修を実施している自治体や病院は限られています。

では、実際の医療現場では、日本語で意思疎通が難しい患者さんに対応するさいには、どのようの対応しているかというと、患者さん個人が、自身のツテで日本語のできる家族や知り合いを連れてきて受診することがおおいです。

このような通訳の人をアドホック通訳者とよびます。アドホックとは、「特定の目的のための」「限定目的の」などといった意味のラテン語で、この場合は、「暫定目的の通訳者」といったニュアンスです。

アドホック通訳者の問題点

アドホック通訳者を介してのコミュニケーションはでは、積極的なコミュニケーションをとることが難しく、また、正確なコミュニケーションがおこなわれていない可能性も指摘されています。


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実際に、移民先進国のアメリカでは「訓練をうけた医療通訳者の有効性」、「訓練をうけていないアドホック通訳者の正確性やその悪影響・悲惨な医療過誤」が報告されています。

多くの日本の病院でも、患者さんの安全をおびやかすリスクを減らすために、訓練をうけた医療通訳者が必要であると考えていますが、使用言語の種類の問題や医療通訳者の人手不足といった問題を抱えています。

東京オリンピックそして未来へ

2020年には、東京五輪を迎え、今後もよりいっそう外国人居住者・滞在者は増えていくことが予測されます。

そういった外国人のかたがたが、今よりもいっそう安全に暮らし過ごしていくための1つに、受診したいときに安心して受けられる医療機関の確保は不可欠になっていきます。


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では、いったい人手がすくなく、医療通訳者を雇う余裕のない医療機関で現実的にできることには、いったんどんなことがあるでしょうか。

ひとつには、受診する患者さんにあわせて外国語会話帳を準備することです。一般的な外国語会話帳には、簡単なあいさつから医療機関を受診するさいに利用する専門用語が記載されています。

本によっては、かわいいイラストや挿絵が含まれています。そういった本を利用すれば、患者さんにとって緊張がほぐれてよりよい医者・患者関係がはぐくまれるかもしれません。

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