バクタ配合錠に含まれるトリメトプリムの意外な落とし穴 注意して内服・処方しましょう

熱がでたり、尿の切れがなんとなく悪くて病院にいくと、尿検査をすることがあります。尿検査をしてみるとやっぱり、尿にばい菌がいて、膀胱炎や尿路感染症でしたと伝えられた経験がご高齢の方なら一度はあるかもしれません。


写真はイメージです。 photo by illust-ac

尿路感染症の治療には、抗菌薬を内服しますが、抗菌薬の濫用から、なかなか効かない薬も増えてきていて、最近では、じょじょにサルファ剤とトリメトプリムの合剤のST合剤(サルファ剤とトリメトプリムの頭文字を取ってSTです)が使用されることが増えています。

なぜ、ST合剤が処方されるようになってきているかというと、今まであまり患者さんに処方される機会が多くなかったため、ST合剤のきかない細菌が少ないと考えられているからです。

BMJからトリメトプリムの注意喚起

海外では単剤で内服・処方されることもあるトリメトプリムですが、2018年1月にBMJという雑誌から、使うさいには、少し気をつけたほうがいいという報告がありました。

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論文では、1997年から2015年までに抗菌薬を処方された65歳以上の患者さんを対象に抗菌薬処方後2週間以内の腎機能障害・高カリウム血症・死亡の頻度を検索しています。

研究では、イギリスの65歳以上の119万人を対象にしていて、18万人が1度は尿路感染症に抗菌薬を処方されていました。抗菌薬を処方された42万回の治療機会を研究の対象にしています。

処方された抗菌薬でくらべたところ、トリメトプリムを処方された患者さんでは、腎機能障害と高カリウム血症の頻度が、アモキシシリンという一般的な抗菌薬にくらべて有意に高い結果となりました。ただ、死亡数では、有意な差を認めませんでした。

とくに、レニンアンギオテンシン系の降圧薬であるACE阻害薬、ARB、カリウムを体内に保持する種類の利尿薬を内服している人では、腎機能障害と高カリウム血症に気をつけたほうがよいという結果になっています。


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まとめ

実際に、ST合剤であるバクタ配合錠の添付文書をみてみると、腎機能に応じて使用する量を調節し、腎臓があまりにも悪い場合には、使用しないほうがよいと書かれています。

さいわい、今回の研究では、トリメトプリムの使用することで、生死には影響しないという結果でしたが、普段なにげなく処方されているST合剤です。

お薬を出す前に、いまいちど腎機能が悪くないか、カリウムは高くないか、どんな降圧薬・利尿薬がでているか忘れずに確認してください。

 

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