汗をかくと湿疹やかゆみが・・・汗アレルギーとは

[汗をかいたときに・・・]

汗をかいたときに「かゆみ、チクチクやピリピリしたような痛み、赤くなってしまう、湿疹ができる」といったことはありませんか。もしかしたらそれは汗アレルギーかもしれません。

わたしたちは汗をどのようなときにかくのでしょうか。汗のかき方は大きく3つにわけられます。

・暑いときや運動をして体温が上昇したとき・・・温熱性発汗

・緊張したときや興奮したとき・・・精神性発汗

・辛いものなど食べたとき・・・味覚性発汗

いろいろな場面で汗をかきますよね。汗アレルギーの話の前に「汗」についてみてみませんか。

[汗は役割はなに]

汗の元は血液です

汗は皮膚に存在している汗腺から分泌されます。分泌される汗は血液から作られます。成分のほとんどが水です。水以外に微量の塩化ナトリウム、尿素、乳酸やカルシウム・マグネシウムなどのミネラル分も含まれています。

写真はイメージです。photo by pixaboy

汗の役割は体温調整機能だけではありません

汗の役割といえば、よく耳にするのは体温調節機能ですよね。体温があがって体内に熱がこもった時に汗が蒸発することで体内の熱を逃がします。

汗は、それ以外にも殺菌作用、肌の保湿作用、一部のアレルゲンの作用を阻害する働きがあることがわかってきています。

良い汗と悪い汗って聞きますが

汗が分泌される時に、通常は多くの必要な塩分やミネラルは血液に再吸収されます。しかし、汗腺がうまく機能していないと塩分やミネラルが再吸収されずにそのままでてしまいます。うまく再吸収された汗を「良い汗」、再吸収がうまくできない汗を「悪い汗」といいます。

良い汗:サラサラの汗で汗粒も小さく蒸発しやすい無臭の汗です。蒸発しやすいので速やかに体温調整機能の役割を果たし、あわせて皮膚の水分を保持してくれます。

悪い汗:べとべとの汗で汗粒が大きく蒸発しにくい匂いがある汗です。塩分やミネラルもからだからでてしまうので、体内の塩分やミネラルが不足がちとなり脱水症状のリスクが高まります。蒸発しづらいために細菌が繁殖しやすくい皮膚に悪影響を及ぼします。

運動不足や夏場にエアコンに頼った生活など汗をかかない生活、不規則な生活、ストレスなどによって汗腺の機能が衰えていると良い汗がかけなくなるといわれています。

 

写真はイメージです。photo by photo-ac

このようにわたしたちにとって必要な汗によってアレルギーを引き起こす場合があります。汗でアレルギーって思いますよね。どのようなものかみてみましょう。

[汗アレルギーってなに]

あせもとは違います

赤ちゃんやこどもがひじやひざの内側、首筋、背中など汗がたまりやすい部分に湿疹ができて、かゆみを引き起こすことがありますよね。何日か引かないですよね。これは「あせも」です。汗腺に皮脂や老廃物などが詰まることで、汗が皮膚に漏れ出し炎症を起こすのが原因です。大人でもできる場合があります。

汗アレルギーの症状は

汗アレルギーは、暑さなどによって汗をかいた場所が赤くなってかゆみや湿疹を引き起こします。チリチリ、ピリピリとした痛みがある場合もあります。アレルギーの程度にもよりますが普通はしばらくすると消失します。かゆみのせいでかいてしまうと症状を悪化させてします。

汗アレルギーの原因は

汗アレルギーの原因については、はっきりと特定されていませんでしたが、2013年に広島大学の秀道広教授の研究グループが、アレルギーの原因物質としてカビの1種のマラセチア菌のなかのグロボーサ菌が作り出すMGL-1304というタンパク質が、かゆみや湿疹などのアレルギー反応を引き起こすことを発表しました。

このことから汗アレルギーの原因が、汗そのものではないことが示唆されました。

マセラチア菌  photo by wikimedia

マラセチア菌は私たちの皮膚に存在する常在菌で皮脂と湿度を好み繁殖します。マラセチア菌にはいろいろな種類があります。ニキビのような発疹ができるマラセチア毛包炎や頭皮のかゆみやふけなどの原因にも関連します。

この汗アレルギーに関連していると考えられている皮膚疾患がいくつか知れています。

[汗アレルギーに関連する皮膚疾患があります]

汗アレルギーに関連する疾患として、コリン性じんましん、アトピー性皮膚炎、金属アレルギーを紹介します。

◇コリン性じんましん

コリン性じんましんは、汗をかくことが引き金となり原因となって発症するじんましんです。「アセチルコリン」という汗腺を刺激する神経伝達物質が原因になります。

最初にピリピリした感じからはじまり、徐々にかゆみがましてきてじんましんが広がります。じんましんは短ければ数分、長くても数時間で収まります。症状が刺激を受けた部分のみに現れる場合と全身に広がる場合があります。

コリン性じんましんの方は、汗アレルギーの原因となるたんぱく質に対して高い抗体反応を示すことが知られています。このことから関連性が指摘されています。

◇アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、アレルギーを起こしやすい体質や皮膚のバリア機能が弱い人に多くみられます。良くなったり悪くなったりを繰り返してなかなか治癒せずに慢性の経過をたどります。アレルゲンを含む食べ物、ダニ、汗、乾燥などが引き金になって発症します。

写真はイメージです。photo by irasutoya

皮膚が乾燥する、フケのようなものが落ちる、赤いはれ、湿疹、水ぶくれ、皮膚の浅い部分がじくじくした状態になどさまざまな症状を引き起こします。

アトピー性皮膚炎の方の80%が汗アレルギーといわれています。マラセチア菌が作り出すたんぱく質に対してアレルギー反応を示すことがわかっています。

ミニコラム アトピー皮膚炎で汗はかいたほうがいい?

以前はアトピー性皮膚炎では汗はタブーと言われていましたが、アトピー性皮膚炎の方の皮膚は乾燥肌が多いことが知られていて、汗が少ないために、乾燥しやすくなってしまうことがわかってきました。汗には殺菌作用や保湿作用があります。今ではこれらを利用して皮膚の状態をよくしていくという治療も行われています。この汗は「良い汗」であることが必要で「汗腺トレーニング」などを行います。

◇金属アレルギー

身につける金属製の指輪、ネックレス、時計などの金属が汗で溶けてイオン化して発症する接触性皮膚炎の一つです。金属アレルギーは身につける金属以外が原因となることもあります。金属アレルギーと汗アレルギーは併発する場合が知られています。

[汗アレルギーの予防は汗を放置しないことです]

汗をかくこと自体は悪いことではありません。汗を放置しないことが大切です。汗の湿り気があるとカビの絶好の繁殖場所になります。また、自然に汗が引いても蒸発した時に皮膚表面の水分を奪って肌を乾燥させるので乾燥肌になり皮膚のバリア機能が低下します。

汗をかいたらタオルやガーゼでこまめにふき取ります。濡れたタオルを使うのが望ましいのですが、持ち歩くのがちょっとという方は乾いたタオルでもかまいません。こするのではなく軽くたたくようにふき取りましょう。市販の汗ふきシートを使う場合には刺激が強いものは避けてください。

写真はイメージです。photo by irasutoya

できるならシャワーやお風呂で汗をぬるめのお湯で洗い流してください。洗い流すときには強く洗わずにやさしくからだを洗い流し、石鹸を使う場合には刺激の少ないものを使用します。入浴後などには保湿効果の高いスキンケアクリームなどを用いて保湿にも心がけましょう。

普段から汗を放置せずに肌を清潔にして保湿を保つことが大切です。良い汗をかけるようにすることを考えるのもいいでしょう。症状が長引く、ひどくなる場合に皮膚科のお医者さんを受診してくださいね。

 

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