平成27年1月27日、厚生労働省が推進する「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)が策定されました。
新オレンジプランとは?
このプランは今後、団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年を見据え、認知症を患う人の意思を尊重し、支援できるように生まれた制度です。「住み慣れた地域で、活き活きと自分らしい暮らし続けることができる」が目標として、掲げられています。施策の中心となる7つの柱については、以下のことが挙げられています。
1.認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
認知症は、全ての人にとって、身近な病気であることを、普及・啓発等を通じて、改めて社会全体として確認しようという働きかけをします。
認知症を患う人を、地域で支えるために、認知症の人の視点に立って支援できる基盤を作り、認知症についての知識を持つ「認知症サポーター」の養成を行います。平成26年12月31日の時点では、5,800,329人養成されています。
2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
早期診断・早期対応を軸に、その時の容態に、もっともふさわしい場所で医療・介護が提供される、仕組みを実現していきます。そのために、「認知症サポート医」を増やし、認知症疾患医療センターの設立や、かかりつけ医や医療従事者の、認知症対応力の向上ごを目指すための研修を行われているのです。
写真はイメージです。 photo by MaxPixel
3.若年性認知症施策の強化
65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」といい、全国で4万人近くいると言われています。若年性認知症の人は、就労や生活費等の経済的問題は大きく、ご家族の負担が大きくあることから、居場所づくりなど、様々な分野で支援が行われています。
相談窓口が設けられたり、適切なサービスが受けやすいよう、ハンドブックが作成されています。また、施策についての意見交換会の開催も行われいます。
4.認知症の人への介護者への支援
認知症を患っている人のご家族など、介護者の精神的身体的な負担はとても大きいものです。そのことを考慮し、生活と介護の両立を支援する取り組みも、同時に行われています。
介護者への支援を行うことは、認知症の人の生活の質の向上にも繋がると考えられています。
5.認知症を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
生活の支援、生活しやすい環境の整備、就労・社会参加支援及び安全確保が行われ、認知症を患う人を含む、高齢者にやさしい地域づくりが推進されています。
6.認知症の予防法・診断法・治療法・リハビリテーションモデル・介護モデル等の研究開発 その成果の普及の推進
認知症の原因となる疾患、それぞれの病態解明や行動・心理症状(BPSD)等を引き起こす、メカニズムの解明の通じて、認知症の予防法や治療法、また、リハビリテーションモデル等について、研究開発が行われます。
7.認知症の人やその家族の視点の重視
これまでの認知症施策は、認知症の人を支える側の視点に偏りがちなものでしたが、今回は、認知症を患う人や、そのご家族、両者の視点を重視し、プランの柱の一つとして掲げられています。これは、他の6つの柱のすべてに共通する、プラン全体の理念でもあります。
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まとめ
現在、日本の高齢化率は、4人に1人が65歳以上の高齢者という統計があがっています。さらに、2060年には、2.5人に1人が高齢者となることが予想され、それに伴い、認知症を患う人も増加すると考えられます。
認知症の人が住み慣れた地域で、「自分らしい暮らし」を続けるために、そして、そのご家族が「より快適で、負担の少ない日常生活を送るために」日本では、さまざまな取り組みが行われようとしています。
今後、認知症に対して、多くの人が関心を持つことによって、認知症サポーターの養成の発展、支援の向上につながるのではないでしょうか。
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