胃腸のはたらきや調子を整える生薬ー大建中湯と小建中湯


写真はイメージです。 photo by Iskra Photo

いくつもの生薬を組み合わせて作る漢方薬のなかに、建中湯と呼ばれる漢方があります。丈夫にするという意味をもつ「建」と、胃や腸をあらわす「中」の組み合わせです。建中湯類のなかには、「大建中湯」と「小健中湯」があり、それぞれの生薬が用いられ、共に胃腸の働きや調子を回復させ、冷えや腹痛、体の虚弱を改善します。

大建中湯の効用

天然の生薬である、人参(ニンジン)、山椒(サンショウ)、乾姜(カンキョウ)が大建中湯には配合されていて、胃腸の働きを良くする人参、冷えや消化機能の改善は山椒と乾姜が担います。

これら生薬の効果で、腹部の痛みや張り(膨満感)、手足や腹部の冷えを改善しますが、基本的に冷えの対処に用いられるため、炎症などの熱症状への使用は好ましくありません。

使用法としては、「成人1日7.5~15gを2~3回に分け、食前または食間に飲む」が一般的で、四肢や腹部の冷え、腹部の張りや痛み、下痢や便秘の症状に効果があります。効果があらわれる時間は、個人差があり数時間~数日程度です。また、腸閉塞(イレウス)の改善効果も知られていて、手術後の腸管癒着の予防に病院で処方されています。

天然由来の生薬を用いた漢方、大建中湯でも副作用はあります。吐き気や嘔吐などがあり、特に注意が必要なのは「肝機能障害」を患っている方です。服用することにより、病状を悪化させる場合があります。

小健中湯の効用

大建中湯と同じく胃腸の働きに作用しますが、大人よりも虚弱で疲れやすい小児に用いられます。

桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)が配合生薬です。体を温める作用がある桂皮は、発汗や発散をおこなうと共に、胃腸を強くする働きを持ちます。虚弱で疲れやすい児の腹痛と冷え、血色の悪さと頻尿や多尿の改善に有効で、小児の虚弱体質や夜泣き、小児夜尿症の症状に効果があります。

食前や食間の服用を基本とし、配合された生薬の作用で症状の緩和、丈夫な胃腸にすることが目的ですが、違和感や不快感を覚えたときは使用を中止します。副作用の少ない小健中湯ですが、体質や状態によっては合わない場合もあります。

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