一人でも、多くの命を救うために-AEDプロジェクト 「あけて、はって、スイッチ押すだけ」

[AEDを知っていますか?]

駅、飛行場、商業ビル、学校、職場などに設置されているAEDを見たことや学校、会社でAEDの授業や講習を受けたことはありませんか。


AEDの外観 photo by Wikipedia

AED(AutomatedExternalDefibrillator)は、「自動体外式除細動器」のことで、突然、倒れ、心停止した人を「わたしたちが命を救うこと」ができる大切な救命装置です。

医療ドラマで、心停止した患者に「離れて」と言って、心臓に電気ショックを行う場面を見たことはないでしょうか。医療現場で使われる医療用装置を一般の人でも簡単に使えるようにしたものが「AED」です。

[AEDの現状は?]

「突然死」と言う言葉がありますが、多くの原因は心臓です。心臓が「心室細動」と言われる状態に陥ります。

心室細動になると、心臓が細かくけいれんし、心臓の大事な機能である血液を全身に送り出せなくなります。これを「心停止」といい、心臓の状態を戻すためには「AED」を使わなくてはなりません。

心臓が止まってから、命が助かる見込みは「1分で約10%ずつ」低下するといわれています。すこしでも早くただしい処置をすることが大切になってきます。

人が倒れているのを見かけた場合に、まず、「救急車を呼ぶ」というケースが多いでしょう。救急車を呼ぶことも必要ですが、救急車が、到着する平均時間は8.6分(平成27年度総務省資料)です。救急車が到着した時には、助かる確率が低くなっているといえます。

以下の資料は、平成27年度の総務省の「救急・救助の現況」をまとめたものです。

搬送者数1ヶ月後の生存率
目撃された心肺停止者総数24,496人3,186人13.0%

 

 

AEDを用いなかった心肺蘇生12,569人51.3%1,599人12.7%
AEDを用いた心肺蘇生1,103人4.5%596人54.0%
心肺蘇生をしなかった10.824人44.2%991人9.2%

※「目撃された心肺停止者総数」は人前で倒れた数です。自宅で倒れた人数を含みません。自宅で倒れた人数を含めると7万人超になります。

AEDを使用したケースでは2人に1人助かり、使用しないと10人に1人しか助かりません。しかし、実際のAEDの使用率は、わずかに4.5%です。AEDを使用すれば助かる可能性がある命が、残念なことに失われています。

AEDについてのアンケートが、以前、実施されています。「AEDを使用できますか」の質問に対して、半数以上の人が「AEDの使い方がわからない」、「AEDを使ってよい状態なのかわからない」を理由に、「AEDを使用できない」と回答しています。

このような、現実に対して、AEDを普及させるためのプロジェクトが立ち上がっています。

[使おうAEDプロジェクト]


photo by Wikipedia

このプロジェクトを立ち上げたのは、元バイトAKBで現役女子大生の川口真実さんで、プロジェクトの合言葉は、『あけて、はって、スイッチ押すだけ』です。

プロジェクトで作成されたAEDを広めるための動画がYouTubeにアップされています。元プロレスラーの蝶野正洋さん、芸能人の方々、渋谷区長など、さまざまな方が賛同して、出演しています。

『使おう♡AED』ダンス渋谷区編 ~「歌」と「ダンス」でAED設置場所を紹介!!~

川口さんは、大学の看護学部のカリキュラムで「突然死とAED利用実態」について学んだことをきっかけに、「AEDを一般の方の知って欲しい」、「AEDは誰でも使えるもの」、「AEDを実際に使って欲しいという」との思いからスタートしました。

元バイトAKBの経験を生かし、いろいろな方に興味をもって貰えると方法として「AEDの設置場所と使い方」を「歌」と「ダンス」を使用することで、広く知ってもらい、普及させることを目的に作成したものです。

川口さんの活動は、これだけではなく、東京マラソンやさいたま国際マラソンのイベントでAEDの使い方の説明やニコニコ超会議の座談会にもでています。活動の様子はFaceBookやTwitterで配信されています。

FaceBook(使おうaedプロジェクト)

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Twitter(使おうAEDプロジェクト)

このプロジェクトは、これで、終わりではなく、川口さんは、将来的なビジョンとして、「医療×エンターティンメント」活動を通して、人の心に動かすようなやり方で伝えたいと考え、現在、いろいろなことを積極的に勉強中です。

AEDの普及に関するプロジェクトは、他にも、いろいろとあります。2つほどあげておきます。

○減らせ突然死プロジェクト

2014年4月、AEDと心肺蘇生の実施率を上げ突然死を減らす目的で、医師・救命士によって立ち上げられたプロジェクトです。このサイトではAEDをゲームで学ぶコンテンツも配信されています。

○MIKITO AED PROJECT

プロ野球BCリーグ主催で、AEDの寄付、啓蒙を主な活動にしたプロジェクトです。「MIKITO」の名前は、わずか、小学校4年生で、野球の試合前のランニング中に突然倒れ、急性心不全で亡くなった水島樹人さんの名前からとれていて、同じ悲劇を繰り返さないようにという趣旨から設立されたものです。

[AEDは普及するようになるのか]


パットがあらかじめ接続されたAED photo by Wikipedia

AEDの使い方は、難しいものではありません。AEDから自動で使い方のガイドが流れ、その指示に従うだけです。命を救うのに躊躇することは不要です。『あけて、はって、スイッチ押すだけ』です。

AEDを普及させるために積極的にバイタリティあふれたプロジェクトに接することにより、一般の人たちの間で、AEDを知るきかっけとなることが期待されます。

AEDの認識の普及は、充分とは言えません。一人でも、多くの人にAEDへの関心や認識が広まり、一人でも多くの命が助かることを願ってやみません。

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