すこしでも日常生活の質の改善をめざす呼吸リハビリテーション

リハビリテーションには、主に脳血管疾患、整形外科疾患とともに呼吸器疾患に対するリハビリテーションがあります。

心筋梗塞や狭心症は、呼吸器疾患リハビリテーションと似て非なる部分もありますが、心大血管疾患に分類され、呼吸器疾患リハビリテーションと区別されます。大まかにいうと、対象臓器が肺か心臓で異なると思って良いと思います。

呼吸リハビリテーションとは

我が国における呼吸リハビリテーションの歴史は、1957年頃にヨーロッパから持ち帰った技術が始まりとされており、その後全国の国立療養所に伝播していきました。


写真はイメージです。 photo by WIKIMEDIACOMMONS

当時の国立療養所は結核患者が多く、結核患者さんの呼吸器機能の維持・改善を図るために行われていました。その後、結核の治療薬が開発されて、結核患者さんへのリハビリテーションは減ってきています。

現在の呼吸器リハビリテーションの対象患者さんは主に下記のようになります。

・肺炎、無気肺、急性発症した呼吸器疾患

・肺腫瘍、胸部外傷、呼吸器疾患の手術後

・慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、その他の慢性の呼吸器疾患

・食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の手術前後の呼吸機能訓練

実際におこなう呼吸リハビリテーション

実際のリハビリに関しては、疾患によって異なりますが、症状が軽ければ、耐久性向上のために高負荷トレーニング、筋力増強訓練が中心となります。


写真はイメージです。photo by MaxPixel

主なものとして自転車エルゴメーターやトレッドミルといった有酸素運動が中心となります。行う際は、患者さんの心拍数や年齢などから、運動強度を計算してそれに沿って行なっていきます。

逆に、気管挿管による人工呼吸器を必要とする重症患者さんであれば、全身状態を整えるコンディショニングや自立呼吸のための介助・トレーニングが中心となります。

ベッド上寝たきりの患者さんの場合には、痰を出しやすくするための排痰訓練または介助、排痰しやすくするための体位交換を行なっていきます。また、呼吸の際に肺を動きやすくする横隔膜に対するトレーニングや骨、関節を動かしていく訓練があります。

日常生活をおくるさいに必要なリハビリテーション


写真はイメージです。 photo by taniadimas

じっとしているときに症状がない患者さんが行うリハビリテーションは、日常生活動作訓練です。家事、入浴、移動など、日常生活を送る中でおこなう動作が、呼吸をするさいに負担にならないように訓練・指導を行っていきます。

在宅酸素を用いている患者さんは、2002年で12万人を超えているとされていて、2025年には20万人を超えると推定されます。

重たい酸素ボンベを持って移動される高齢の患者さんの負担は、かなりのものと言えます。少しでも呼吸機能が改善して、携帯する酸素がなくなり、日常生活の質の改善を目指すのが、呼吸リハビリテーションの目的となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました