ハンセン病と国立ハンセン病療養所 医療従事者を幅広く募集中

[ハンセン病の正しい知識を]

「ハンセン病」を御存知でしょうか。一昔前に、「らい病」といわれていた病気です。

原因は「らい菌」の感染よるもので、主に皮膚と神経を侵す慢性に進行する感染症です。感染力は極めて弱く、感染しても発症しない場合がほとんどです。

発症すると最初は皮膚に斑紋ができ、斑紋の部分は感覚を喪失しているのが特徴です。放置するとからだの変形や障害もしくは欠損などを引き起こします。

 


ハンセン病を患ったノルウェーの24歳の男性 photo by WIKIMEDIACOMMONS

1943年に「プロミン」という特効薬が発見されたのをきっかけに、新しい薬の開発や治療法が進み、「MDT」という多剤併用療法によって「ハンセン病は治る病気」になりました。

治療法が確立する前には、「からだの変形や障害もしくは欠損」といったことから恐れられ、「隔離収容」するということが行われました。

そのために、1907年に「都道府県立らい療養所」が作られました。1941年に厚生省の管轄に移管され、これが、現在、日本にある「国立ハンセン病療養所」となります。ハンセン病患者は療養所内で一生を送ることを強要されました。

[国立ハンセン病療養所]

隔離収容する法律は1907年に公布されものです。1948年にハンセン病の予防、医療、福祉を目的に「らい予防法」として改正されましたが、収容隔離の方針はかわりませんでした。

「らい予防法」が廃止されたのは1996年で、ハンセン病への対応が大きく変わる法律として「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が制定されます。

現在、国立ハンセン病療養所のほとんどの入所者は治癒しています。しかし、ハンセン病患者は長い間にわたって社会から隔離されてきました。身寄りがない入所者も多く、入所者の平均年齢は80歳を超えています。

そのために高齢や病気の後遺症による障害などから、生活支援や看護が必要な状態です。

 


らい菌を発見したとされるアルマウェル・ハンセン photo by Wikipedia

「国立ハンセン病療養所」は、東北2施設、関東2施設、東海1施設、中国2施設、四国1施設、九州・沖縄5施設の計13ヶ所あります。

各療養所では入所者の医療や生活支援が主な業務になりますが、入所者は「最後の時まで、退所や転園することなく施設で過ごす事」を望んでいます。

つまり、「入所者の最後の一人まで、医療や看護が提供される生活の場」であることを目的に、多角的な医療や生活支援を提供しているのが国立ハンセン病療養所です。

それでは入所者がいなくなったら施設は不要になるのでしょうか。そのようなことはなく、「療養所の将来に向けたビジョンへの取り組み」が行われています。

・ハンセン病対策のための人材育成や研究機関とし、世界に多く患者がいるハンセン病の国際医療協力の場としての活用。

・ハンセン病の正しい知識や啓蒙活動の中核の場に。

・ハンセン病の施設内に残されている後世に残すべき負の遺産、納骨堂の保存。

・医療機関として外来診察、リハビリセンター、認知症の医療施設など施設を有効に活用する。

・終末ケア、療養介護、障害者介護、グループホームなど福祉の面として施設を活かす。

・地域の交流の場としてイベントなどの開催場所など地域のニーズに合わせた場所にする。

このようなさまざまな取り組みにより、「新たな形の国立ハンセン病療養所」に変わっていくことでしょう。

[ハンセン病を考える機会に]

ハンセン病については、広く知られるようになってきたとはいえ、まだ、少なからず、偏見や誤解があることが否定できません。国立ハンセン病療養所には、一般向けに資料館が併設されている療養所があります。

 


国立ハンセン病資料館 photo by Wikipedia

なお、ハンセン病に対する正しい知識の普及や啓発と偏見の解消を目的とした、「国立ハンセン病資料館」が東京の東村山市にあります。

「日本のハンセン病の歴史、ハンセン病に関わる問題、世界のハンセン病の事情」を目にすることができます。

国立ハンセン病療養所では、重要な問題を抱えています。それは「国立ハンセン病療養所の医療従事者不足」です。厚生労働省では、国立ハンセン病療養所の医療従事者を幅広く募集しています。

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