Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆嚢炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。
97 Aさんの病室環境で適切なのはどれか。
- 座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。
- 点滴スタンドをベッドに固定する。
- ポータブルトイレを設置する。
- 離床センサーを設置する。
トイレ歩行の許可は出ているので、ベッドから起き上がりやすいように、ベッドの高さを膝関節が90度になる高さに調整します。
点滴スタンドをベッドに固定すると、トイレに行き辛くなります。
トイレ歩行の許可がでているので、ポータブルトイレを使用する必要はありません。
ベッド上安静ではないので、離床センサーを設置する必要はありません。
よって答えは1になります。
98 入院後日、妻がAさんについて「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と看護師に訴えた。Aさんのバイタルサインは、体温36.9 ℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。
- うつ病
- せん妄
- ナルコレプシー
- 急性ストレス反応
せん妄は、突然発生して変動する精神機能の障害で、通常は回復可能です。 注意力および思考力の低下、見当識障害、意識レベルの変動を特徴とします。入院患者さんの10-30%程度にせん妄が発症すると言われています。うつ病や急性ストレス反応で、見当識障害がでることは稀です。ナルコレプシーのような過度の眠気は認めていません。
よって答えは2になります。
99 入院後3週、Aさんは症状が改善し、退院することになった。Aさんは「退院したら孫たちと温泉旅行をして、おいしいものをたくさん食べることが楽しみです。何か気を付けることはありますか。」と看護師に話した退院時のAさんへの指導で適切なのはどれか。
- 「上腹部の痛みがあったら受診してください」
- 「食事内容の制限はありません」
- 「運動は控えてください」
- 「入浴しないでください」
今回Aさんは、胆嚢を摘出しておらず、胆嚢炎を繰り返すおそれがあります。上腹部に同様の症状があった場合は、再発の可能性があるため、受診するように促しましょう。
胆嚢炎の食事療法では、胆嚢収縮を抑制するために脂質の摂取量を制限します。
胆嚢炎になったからといって運動制限・入浴制限をする必要は特にありません。
よって答えは1になります。
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