気づかれていない!?失敗しがちな大人に潜む、ADHD

ADHD(多動性障害・注意欠損)は、脳の発達障害のひとつとされ、元は子ども特有の障害であると認識されていました。しかし、ここ数年の研究や調査によって、成人してからADHDと診断され、苦しんでいる人が多くいることが分かりました。

ADHDは一昔前に比べ、比較的理解されるようになってきてはいますが、まだまだ認知度は低く、ADHDを患う人にとっては社会に出ることを、苦痛に感じている人は少なくないです。

さらに、本人すらADHDに気づかず、自分は「忘れ物が多い」「期限が守れない」「部屋が片付けられない」「余計な一言が多い」と「私はダメな人間なんだ」と捉えてしまう人も、多く存在しているのが現状です。

社会に出たら、「言い訳するな」の一言で片づけられ、誤解されがちな障害です。ADHDの存在を知り、「もしかして、私も・・」と思う方も多いのではないでしょうか。

ADHDとは

不注意、または多動性や衝動性のために、学校や家庭や職場などの場面で、日常生活に困難を来してしまう発達障害のひとつです。脳の働き方の違いによって、集中力がない・気が散りやすい・忘れっぽい・落ち着きがない・喋りすぎるが症状とされています。

周囲の人からは、「乱暴」「しつけ不足」など、誤解されることが多いですが、実際そうではないのです。また、誰にでもありえるような症状ですが、同年代と比較しすると、非常に強く症状が現れることや、頻度が多いことが特徴とされています。


写真はイメージです。 photo by flickr

ADHDは、学童期の子どもに多く目立っていますが、大人になってからも症状が認められることも、現代では明らかとされています。

成人のADHDは、落ち着きのなさよりも、不注意が目立ち、時間の管理や感情のコントロールが苦手とされ、リスクを伴う行動を回避することができない、といったことが特徴とされています。

また、うつ病などの精神疾患を持ち、精神科での治療を受けている過程で、子どものころからADHDの症状があったことが発覚することもあります。

成人期でのADHDの診断は、世界保健機構が作成したチェックリストを用いて行います。さらに2017年、コンピューター上に人工的な三次元空間を作り出し、あたかもその世界にいるかの様な体験ができる、バーチャルリアリティを使用した診断方法が、ニューヨークで開発されました。

ADHDの治療方法

成人期でADHDを患う人は、さまざまな場面で日々の困難を感じ、それが積み重なることや、周囲の人たちからの誤解によって、精神的にも辛い状況となります。

そのため、他の精神疾患を併発してしまい、二次的問題につながることもあるとされています。さらに、ADHDは、発達障害のひとつであることから、生まれ持ったその人の特性と言われ、根本的に治る治療というものはありません。

しかし、正しい診断を受け、適切な治療を行うことによって、本人を取り巻く辛い状況は改善され、精神的に安定して過ごせるようになることは可能だと言われています。

治療は、環境の改善・対人関係能力や社会性を身に付ける「心理・社会的療法」と呼ばれる治療法を用い、その時のその人の状況に応じて「薬物療法」を取り入れるという方法が、主に行われるのです。


写真はイメージです。 photo by pixabay

治療と向き合う

治療による効果は人により異なり、基本的には長期間有する必要があるとされています。また、周囲の人にもADHDについて理解してもらい、少しずつできることを増やすことで、自信につながり、徐々に辛い気持ちは減少していきます。

治療と向き合うには、まずはしっかりとADHDを知ること。そして、焦らず自分のペースでゆっくりと成功体験を積み重ねていくことが重要です。本人の努力は、当然必要ではありますが、何よりも周囲の理解やサポートが最も重要です。

日本では、人口の3%(33人に1人)がADHDであると言われています。この比率から、ADHDの存在は非常に身近な発達障害の1つだと考えられています。

もし、自身が過ごす環境の中に、ADHDに悩む人がいるとしましょう。ADHDについて、少しでも知識を持って接することができたら、その人を取り巻境は大きく変わり、救いの手を差し伸べることができるのではないかと考えます。

 

 

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