アメリカ発-ED治療薬バイタロスをFDAが承認せず、株価にも影響

[FDAに承認されなったED治療薬バイタロス]

2018年2月16日にFDA(Food and Drug Administration-アメリカ食品医薬品局)はアメリカの米国の食品医薬品局は、アメリカの製薬会社のアプリカス・バイオサイエンシズ社のED(勃起不全)治療薬「バイタロス」を承認しなかったというニュースが流れました。この影響を受けてアプリカス・バイオサイエンシズ社の株価は市場開始時に約74%(終値では61%)も下落しました。

写真はイメージです。photo by pixaboy

バイタロスは10年前の2008年にも承認されずに今回で2度目になります。バイタロスはカナダ、メキシコ、一部の中東諸国やヨーロッパ諸国では取り扱われています。

アメリカにおいても取り扱われるようになることが期待をもって見守れていました。株価が大きく下落したのもそれだけ大きな期待をもたれていたということでしょう。なぜ、期待されていたのでしょうか。

最初にED治療薬であるバイタロスはどのような薬かみてみましょう

[バイタロスは塗るタイプのED治療薬です]

ED治療薬というと服用して用いる錠剤タイプのバイアグラなどが有名ですよね。勃起を抑制する作用がある酵素の働きを抑える働きをします。治療効果が高いED治療薬として広く知られています。

しかし、薬の副作用によってからだになんらかの影響及ぼす場合があります。とくに心疾患などの持病がある方や特定の薬を服用している方は使用できません。死亡事例など重大な事例も報告されています。糖尿病などの持病がある方は効果がでない場合や使用できない場合があります。

バイタロスは血流を改善する効果があるアルプロスタジルを成分とする尿道挿入型のED治療薬と同じタイプの薬です。局部にのみ直接作用して海綿体の血流を増加させます。効果はバイアグラなどと異なり直接的に現れます。

※アルプロスタジルは血流を改善させる効果から皮膚の再生が早くなる、傷の治りがよくなるといった効果があります。一般的に褥瘡、やけど、皮膚の潰瘍などの治療に用いられます。ED治療薬としてアメリカで販売されていますが日本では販売されていません。

バイタロスはクリームタイプの薬で局部にぬって使用します。薬の作用する部位が局部に限られ、持病によりバイアグラなどの服用が禁止されている方や効果がでない方でも使用可能で副作用が少ないといわれています。バイタロスは常温保存ができます。

尿道挿入型のED治療薬は専用のアプリケーターを尿道の奥まで入れて使用しますが慣れが必要で危険性も伴います。低温で保存する必要もあります。

バイアグラphoto by pixaboy

ここまでの話から考えてみると効果的な薬かなと思いますよね。アメリカで期待をされていたのもうなずけるものがあります。それでは、なぜ、バイタロスは承認されなかったのでしょうか。

[FDAがバイタロスを承認しなった理由は]

1.CMCに不備がある。

CMCとは「Chemistry,Manufacturing and Control」の略で「化学と製造、それらの管理」のことです。医薬品の承認申請を行う際には開発までの工程や製造および市販後まで審査対象となる医薬品がどのように評価されるかの定義づけが必要になります。

そのために製薬会社が医薬品開発、臨床試験、申請、医薬品製造、市販など一連流れを通しての品質の検討と評価を統合的に対応してくという考え方のことです。言い換えると医薬品の有効性や安全性が確実に担保されるように検討および評価を行っていくことです。

アプリカス社におけるCMCが不備である理由は明らかにはされていませんが、FDAが評価項目が不足しているなどのなんらかの理由で不十分であると判断したと考えられます。

FDAphoto by wikimedia

2.DDAIPの濃度が2.5%で安全上の懸念がある。また、製品にHClが含まれている。

DDAIPは日本では耳にしない言葉だと思います。アプリカス社の子会社に権利があるもので皮膚から薬を急速に吸収させて浸透性を高めるための医薬品成分です。HClは浸透性を高めるために含まれています。安全性について3000人以上の患者の臨床的なテストで確認し有害な事象は報告されていなとされています。

FDAは1度目の申請がされた10年前に使用者本人もしくはパートナーである女性にがんの発生の懸念があると判断しました。今回も安全性について同様の懸念があると判断されたようです。

FDAががんの発生の根拠としているのは2002年に発表されたNexMedの「トランスジェニックスマウスの発がん性研究」によります。

この決定に対してアプリカス社のCEOであるRichard Pascoe氏は以下のように述べています。

「再提出においてFDAに提供したCMC、臨床などのデータや分析についてのレビューの結果に失望している。これらに対しての不足を解決するために必要であると思われる情報について当社のエキスパートが対応を行ったものを評価していて3月初めに提供する」

バイタロスは手軽に使用できて錠剤タイプのバイアグラなどが使用できない人などにも使用できる薬です。FDAは安全性の懸念を指摘していますが、今後、どのようになっていくか注目されますね。

 

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