タミフルと何が違う?新しいインフルエンザ治療薬ゾフルーザとは

毎年新たなタイプが出現し猛威をふるうインフルエンザ。ワクチンを予防接種していても罹患してしまうこともあり油断できませんね。


写真はイメージです。 photo by photo AC

インフルエンザの治療薬というと、内服薬では「タミフル」吸入薬では「リレンザ」「イナビル」があります。そして先月、新たなインフルエンザ治療薬が国の承認を受けました。それがシオノギ製薬が開発した新薬、ゾフルーザです。

タミフルとゾフルーザの違いとは

インフルエンザウイルスはRNAウイルスという種類に分類され、ウイルスだけでは増殖することができません。そのため、

① 吸着・侵入(ヒトの細胞の中に入り込むこと)

② 膜融合(細胞の中にウイルスのデータを放出する)

③ 転写・複製(そのデータをコピーして新たなウイルスを合成)

④ 出芽(新しいウイルスが細胞の外に出ること)

⑤ 遊離・放出(細胞の外に拡散される)

といった過程をたどって増殖していきます。

この、遊離・放出の過程でノイラミニダーゼという酵素が必要になります。現在主流となっているインフルエンザ治療薬「タミフル」は、このノイラミニダーゼを阻害することでウイルスの放出を抑制します。

つまり、タミフルはすでに細胞内で増えてしまったウイルスが体内に広がってしまうことを抑制してさらなる増殖を予防するという働きをするのです。

それに比べて、ゾフルーザはこのウイルスの増殖過程のうち転写と複製に作用します。新たなウイルスの合成を阻害することで、ヒトの細胞に侵入したウイルスが増えること自体を抑制できるのです。そのためウイルスが体内から消えるのが速いので、新たなウイルスの拡散を防ぐことができます。


インフルエンザウィルスの構造(NA;タミフルの作用部位 PA;ゾフルーザ作用部位)
photo by wikipedia

治療薬の内服頻度についてもタミフルは1錠を1日2回、必ず5日間内服する必要があります。しかし、ゾフルーザは1回2錠を1度だけ服用するのみでウイルスの増殖を抑制する効果が得られるのです。これもまた既存のインフルエンザ治療薬よりも優れている点だといえるでしょう。

気になる副作用は?

ゾフルーザは先駆け審査指定制度の対象品目となっています。2017年10月に申請後、4か月というスピードで世界に先駆けて承認されました。今年5月の発売を目指し開発中とのことですが、どのような薬にも副作用が付きものです。

シオノギ製薬のホームページ上ではゾフルーザの作用機序や用法・用量など薬剤の情報について確認することができます。現在発表されているゾフルーザの副作用では910例中、副作用が発現した件数が49例(5.4%)です。主な症状として胃腸障害、下痢・吐き気などが挙げられています。

以前、タミフルの内服で異常行動・言動がみられるといった報道がありました。しかし、結果的には明確な因果関係は不明であるという報告がされています。

新薬の普及にあわせて不必要に不安をあおるような情報が出回ることも予想されます。ゾフルーザが販売された際には、正しい知識をもって用法・用量を守り服用するようにしましょう。

 

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