小児科医不在の町と遠隔健康医療相談システムの連携実験が始まる 小児科医不在の町の育児に寄り添うために

「医師不足」という言葉を耳にするようになってから久しいですよね。厚生労働省の医師調査の調査(平成28年度)によると、実際の医師数は年々増加しています。

しかし、依然として「医師不足」ということがいわれています。

原因として、地域偏重や「小児科、産婦人科、外科」など特定の診療科目の若い医師のなり手が減ってきているなどいろいろな問題が指摘されています。

地域偏重をみてみると、都市部の医師数は多いのかというと人口10万人の対医師数でいえば埼玉県が最も少なく、全国平均からみてみると東北、東京を除く関東圏、東海などが少ない地域です。

人口10万人の対医師数なので人口の少ない県が足りているということでもありません。同じ県内のなかでも地域差があります。

このことは、あくまでも「医師不足」といわれる一例にすぎません。ほかにもいろいろな問題が考えられます。医師不足の問題は、わたしたちの生活にも直結することですよね。

このようななか、2018年6月1日からスマートフォンを使った「小児科オンライン(遠隔健康医療相談システム)」を運営する株式会社Kids Publicが、町内に小児科専門医が不在の鹿児島県錦江町と埼玉県横瀬町と連携して、相談窓口確保の有効性を検証する実証実験の取り組みが開始されました。

-小児科オンラインってなに-

「小児科オンライン」は、「子育ての悩みや不安から親と子どもを守りたいという」という視点から2016年に株式会社Kids Publicがスタートしたシステムです。

多くのクリニックが閉まる平日の18時~22時の時間帯に、「病気、けが、薬、成長、子育て」など幅広くさまざまなことを小児科の専門医に相談することができます。

スマートフォンのLINE(動画通話、メッセージチャット、音声通話)や電話でリアルタイムに相談をおこなえます。担当する医師は、おもに首都圏の医師37人が当番制で対応しています。

写真はイメージです。photo by photo-ac

今回の取り組みでは、0歳~中学3年生までの子どもをもつ家庭が対象になります。相談するには事前に会員登録が必要です。1回の相談時間は10分、相談料は無料、何度でも相談することが可能です。

-鹿児島県錦江町では-

錦江町では、2017年10月にふるさと納税の活用案を町民から応募(第2回未来想像・創造コンテンスト)。

「小児科誘致や遠隔診療・相談が出来る仕組みを導入して子育てを安心してできるようにする」という提案を受けて町がいち早く施策化したものです。

事業費には、ふるさと納税の寄付金が割り当てられます。錦江町地方創生ための「錦江町MIRAIづくりプロジェクト」における、「子や孫に希望あふれる未来を創造して繋いでいく」というコンセプトの一環です。

-埼玉県横瀬町では-

横瀬町では、2017年度より「官民連携プラットフォーム(よこらぼ)」を運営しています。民間企業などから先進的なプロジェクトを提案してもらい、横瀬町の持つ資源と合わせて地域の活性化を図ろうとするものです。

小児科オンラインは29番目に採択されたプロジェクトになります。子育ての不安の軽減や安心感などの向上を計ることで「日本一子育てのしやすい町」を目指しています。

-今回の取り組みの意義は-

今回の取り組みは、小児に特化した遠隔健康医療相談の導入がもたらす社会的なインパクトの評価を行うことにもあります。さらにパイロットケースになることも目指しています。

情報処理や通信に関連する技術やサービスといったICTの活用が、全国の小児科医のアクセシビリティ(利便性)を向上させることで、お子さんを育てる家庭の「不安、経済的負担、時間的負担など」がどの程度軽減されるのかが評価されます。

現在、取り組みについては実施中です。実施期間は年内一杯が想定されています。実施後に検証結果はまとめられるとのことです。小児科医の不在に悩む自治体は少なくありません。結果が注目されるところですね。

 

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