続きです。
次の文を読み115~117の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。
115 病棟看護師がAさんに行う在宅酸素療法に関する指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 電磁調理器の使用を勧める。
- 外出時にデマンドバルブの作動を確認する。
- 在宅酸素療法の機材が介護保険で給付される。
- 酸素濃縮器は日当たりのよいところに設置する。
- 呼吸困難時にAさんの判断で酸素流量を変更してよい。
第107回午前中の23番にも同様の問題がありましたね。
在宅酸素療法のかたは、ガスコンロの代わりに、電磁調理器や電子レンジなどをうまく使うと安心です。
呼吸に合わせて酸素を出したり止めたりする呼吸同調器をデマンドバルブといいます。外出時には、デマンドバルブの作動を確認します。
在宅酸素療法の機材は介護保険で給付されません。健康保険が適応されます。
酸素濃縮器は日当たりの良いところは避け、風通しの良い涼しい場所に置きます。
酸素の投与量は、医師が患者さんの病状を考えて処方するものであって、患者さんは酸素の投与量を自己判断で調節してはいけません。
よって答えは1,2になります。
116 退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作〈ADL〉については入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。
カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。
- 電動ベッドの導入
- 娘の居宅への転居
- 急性増悪時の対応方法
- 介護予防短期入所生活介護の利用
Aさんは、呼吸困難の再発について不安を抱えていること、緊急性の高い課題はどれかと考えると、この選択肢のなかで優先度が高いのは、急性増悪時の対応方法になります。
介護予防短期入所生活介護とは、ショートステイのことで、特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所して、食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や機能訓練などを受けるサービスです。
よって答えは3になります。
117 Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。退院後2週。訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。
この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
- 1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。
- 買い物を兼ねた外出の頻度を減らす。
- 食事の準備は訪問介護員に任せる。
- 食後すぐに排泄をする。
COPD患者は、嚥下時に呼吸が中断されることによる呼吸のリズムの乱れや、飲み込んだものが喉元につまりそうになったり、咳き込む、むせる、誤嚥しそうになることで食事が呼吸の負担になります。また、咀嚼中は呼吸が浅くなることも知られています。
呼吸に負担のある食事時間を短くするのは、食後の呼吸困難を解消しますので答えは1になります。
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