第108回看護師国家試験を解いてみた 問題解説 午後94~96 脳梗塞後のリハビリテーション

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次の文を読み94~96の問いに答えよ。

Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症、脂質異常症を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c 5.8%、心電図では、RR 間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。

94 Aさんの脳梗塞の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。

  1. 糖尿病
  2. 胃潰瘍
  3. 高血圧症
  4. 心房細動
  5. 心房粗動








AさんのHbA1cの値は問題なく、糖尿病ではありません。

Aさんの心電図は、RR間隔不定で心拍数100回/分と、心房細動を認めています。

心房細動が続くと心臓から血液がうまく拍出されず、心房内で血液がうっ滞して血栓ができやすくなります。この血栓が、脳に運ばれ脳の太い血管を詰まらせると、脳梗塞が起こります。

Aさんの血圧は、160/85mmHgと高血圧を認めています。

血圧が高いと心筋の細胞自体に負担がかかり、心房細動を引き起こしやすくなります。

よって答えは3、4になります。






95 入院から3週が経過し、リハビリテーションによって日常生活動作〈ADL〉は改善しているが、夜間は眠れず、食欲も低下している。Aさんは「なかなか良くならない。何もできなくなってしまった」と話している。

現在のAさんへの声かけで、最も適切なのはどれか。

  1. 「時間が経てば良くなりますよ」
  2. 「リハビリをがんばりましょう」
  3. 「同じ病気の患者さんをご紹介しますね」
  4. 「なかなか良くならないと感じているのですね」








Aさんに共感的な態度を示し、悩みを引き出しましょう。

よって答えは4になります。






96 転棟から6週が経過し、退院に向けて多職種チームでカンファレンスを開催することになった。Aさんは、外来でのリハビリテーションを継続しながら元の職場への復帰を希望している。

Aさんの退院前のカンファレンスで適切なのはどれか。

  1. チームリーダーの職種は医師である。
  2. カンファレンスにAさんの妻の参加は不要である。
  3. Aさんのリハビリテーションの目標は医師が決定する。
  4. Aさんのリハビリテーションの内容はチームで評価する。








リハビリテーションは、日常生活の復帰を目指して、リハビリテーションチームによって全人的アプローチが行われます。

リハビリテーションスタッフだけではなく、様々な職種とカンファレンスを軸に情報共有と連携を行います。

特に①関係職種間の情報共有②チームとしての共通目標③家族の参加④専門職種が互いに尊重し合うことが重要です。

よって答えは4になります。


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