透析と聞くと、週3回1日4時間程度の治療時間が必要で大変困難な治療をイメージする方も多いのではないでしょうか。
実は、透析にも2種類あり、日本の透析の大部分をしめる血液透析以外に、腹膜透析という治療法があります。
今回は、この治療法について説明したいと思います。
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そもそも腹膜透析とは
腹膜透析とは、おなかの中にチューブ(テンコフカテーテル)を留置して、そのチューブを通じて透析液を注入します。
注入後、過剰な水分や不要な老廃物がしみだすのを待ち、一定時間おいてから排液します。
血液透析ほど厳格な水分のコントロールはできませんが、腹膜透析は血液透析にくらべて身体への負担が比較的すくないといわれています。
治療は自宅や会社で行い、通院も月1-2回程度ですみます。
医学的にも国内外の検討で、血液透析とほぼ同等の効果が報告されています。
腹膜透析療法がなかなか普及しないわけ
このような利点があるにも関わらず、日本では3%程度しか普及していません。
そのわけの1つは、腹膜透析特有の合併症である被嚢性腹膜硬化症(Encapsulating Peritoneal Sclerosis : EPS)です。
EPSは、被膜を形成し、腹膜の癒着、腸管運動の制限をおこし、原因には、透析液の酸化ストレスが指摘されています。
EPSの発症を早期から発見する試みは、いくつか行われていますが、現状不十分です。
腹膜透析をおこなっている患者さんでも一定期間、腹膜透析をおこなったのちに血液透析に切りかえることが一般的です。
AMEDの支援のもとEPSを早期に発見する内視鏡が開発されている
こういった背景のなかでAMED(日本医療研究開発機構)の支援のもと非侵襲型の極細内視鏡の開発がすすめられています。
この内視鏡はとても細く、腹膜透析患者さんに留置するチューブに挿入することが可能です。
極細内視鏡を用いることで、患者さんの負担をすくなくして、腹膜の中を観察することが可能になります。
腹膜透析が普及しない原因の1つとなっているEPSを早期にみつけることで、負担の少ない腹膜透析が、普及するのではないかと期待されます。
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