魚介類を食べるときはアニサキスに注意しましょう


photo by Jose Ibanez

「アニサキス」という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。

最近だと、お笑いタレントの渡辺直美さんや「品川庄司」の庄司智春さん、「南海キャンディーズ」の山里亮太さんもアニサキスによる食中毒被害にあったと報告しています。

今回は、アニサキスの生態や治療方法などについて紹介します。

アニサキスとは何か

アニサキスとは、回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称で、サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生する寄生虫です。

アニサキスの幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mm程度の大きさで体は白く、少し太い糸のような見た目をしています。成虫になると10cm以上になるものもいます。

アニサキスは最初、魚介類の内臓に寄生しますが、寄生している魚介類が死ぬと内蔵から筋肉に移動します。

そのため、釣りたての新鮮な刺身を食べてもアニサキスには感染しません。時間がたち、アニサキスが筋肉に寄生した魚介類を生または生に近い状態で人間が食べると、胃壁や腸壁に刺入して食中毒症状を引き起こします。

アニサキスが引き起こす食中毒症状

アニサキスが人間の体内で引き起こす食中毒症状は、主に2つあります。

・急性胃アニサキス症
食後数時間から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐の症状が現れます。

・急性腸アニサキス症
食後十数時間から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状が現れます。

この他に、稀に消化管外アニサキス症、アニサキスアレルギーもありますが、アニサキスによって引き起こされる食中毒症状のほとんどが急性胃アニサキス症です。

国立感染症研究所の報告によると、アニサキス症の発症件数は世界的に見ても日本での発症が圧倒的に多く、年間7000件以上も症例があがっていると考えられています。

原因魚種としてサバが最も多いと報告されていますが、

  • 関東周辺ではサバ、イワシ、アジ、メジマグロ、シロザケなど
  • 西日本ではサバ、イワシ、アジなど
  • 北海道ではタラ、ホッケ、サケなど

と、地域によって違いがあります。

アニサキス症はこれまで、アニサキスが胃壁や腸壁に物理的に刺入して痛みが出ると考えられてきました。

しかし最近では、アニサキスの分泌物による局所のアレルギーが原因となっている可能性があると考えられています。

アニサキスの治療方法と予防

一般的に、アニサキスによる食中毒が疑われた場合、まず内視鏡を用いて体内にアニサキスが存在しているかを調べます。

胃アニサキス症の場合は内視鏡で確認できますが、腸アニサキス症の場合は内視鏡では確認が難しいです。現在、アニサキス症の治療に有効な薬は開発されていません。
そのため、以下の治療方法が取られています。

・胃アニサキス症の場合
内視鏡で確認しながらアニサキスを摘出し、その後症状に対する対症療法を行う

・腸アニサキス症の場合
アニサキス原虫を摘出せず、痛み止めや吐き気止めなどの対症療法を行いながら、原虫が死ぬことによって症状が緩和されることを待つ

アニサキスアレルギーにより痒みや蕁麻疹が出ている場合は、抗ヒスタミン剤を使用するといった対症療法が行われます。

最近は、アニサキスの痛みは分泌物のアレルギーによるものと考えられているため、抗アレルギー剤が投与されることが多いです。症状が軽い人は抗アレルギー剤を処方し、そのまま一旦帰宅し、痛みや症状が落ち着いてから内視鏡を用いた摘出を行う場合もあります。

厚生労働省はアニサキスの予防に対して、

  • 新鮮な魚を選ぶ
  • 内臓は早く取り出す
  • 内臓は生で食べない
  • 目視で確認し、アニサキスの幼虫を取り出す
  • 60℃では1分または70℃以上で加熱する
  • 保存の際は-20℃で24時間以上冷凍する

という具体的な予防方法を提示しています。魚介類を食べる際は十分に注意しましょう。

参照:厚生労働省

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