好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に対する抗IL-5モノクローナル抗体メポリズマブの有効性


写真はイメージです。photo by GreenFlames09
難病に指定されている疾患はいくつかありますが、その中で好酸球性多発血管炎性肉芽腫(EGPA)と呼ばれる疾患があります。

毎年約100人の方があらたに発症しており、現在治療を受けている患者さんはおよそ1900人いると報告されています。早期に治療を行った場合、多くの患者さんで症状の改善がみられますが、再発しないように長期にわたる治療が必要となる疾患です。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫とは

EGPAは気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を持っている患者さんに発症する病気です。アレルギー疾患を持っている患者さんの好酸球が何らかの原因で過剰に増加し、血管炎を起こすことで症状を呈します。

血管炎は全身の細い血管に起こりやすく、部位によってしびれなどの神経障害や痣・じんましんなどの皮膚症状、臓器障害などの症状が発現します。また、体重減少や発熱、アレルギー疾患の悪化も高頻度でみられます。稀ではありますが、脳出血や心筋梗塞、重症腎炎などを生じ、命に関わる疾患となる場合もあります。

EGPAの治療には基本的にステロイド薬が用いられます。症状に応じて服用量を決め、症状の改善とともに徐々に量を減らしていきます。症状によっては免疫抑制剤を併用することもあります。再発を防止するために一年以上の長期にわたって治療が行われるのが一般的です。

メポリズマブのEGPAに対する有効性

患者さんの多くは既存の治療法で改善しますが、中には十分な改善がみられない重症のEGPA患者さんもいます。しかし、重症のEGPAに対する治療法はいまだ確立されていないのが現状です。

そこで2017年5月に発表された論文「Mepolizumab or Placebo for Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis」では、抗インターロイキン5(IL-5)モノクローナル抗体であるメポリズマブのEGPAに対する有効性について報告しています。

IL-5は好酸球の増殖や活性化に関わる因子であり、IL-5の働きを阻害するメポリズマブは好酸球を減少させることが知られています。現在、メポリズマブは気管支喘息の治療薬として使用されています。

今回の論文では、ステロイド薬を服用中にもかかわらず十分な改善がみられない、または再発を繰り返す難治性EGPA患者さんを対象に、ステロイド服用に加えてメポリズマブまたはプラセボを併用し、寛解状態の期間・再発率にあたえる影響について解析しています。

その結果、メポリズマブ服用群ではプラセボ群に比べて有意に寛解状態にある期間の延長がみられ、寛解状態にある患者さんの割合も有意に増加しました。寛解が得られなかった患者さんの割合をみると、プラセボ群で81%だったのに対し、メポリズマブ群では47%となりました。また、ステロイド服用量をみると、服用量が一定量以下になった割合がメポリズマブで高い結果となりました。年間再発率は、メポリズマブ服用群で低下がみられました。

このことから、メポリズマブ投与は難治性EGPAの寛解に有効であることが示唆されました。また、メポリズマブ投与によりステロイドの服用量を減らすことができる可能性が示唆されました。しかしながら、メポリズマブ投与により寛解がみられた割合は約半数であり、今後さらに効果的な治療法が開発されることが期待されています。

参照:NEJM

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