薬に耐性を持った薬剤耐性菌の対策 抗生物質の投与方法の見直しへ


写真はイメージです。photo by Iqbal osman

病気にかかった時、適切な薬を処方してもらうとすぐに元気になりますね。しかし、近年では薬に耐性を持った薬剤耐性菌が増えてきています。

薬剤耐性菌の中には、体が弱った人が感染すると死亡する危険のあるものもあり、国際社会の中で大きな課題になってきています。日本国内では、薬剤耐性菌対策について、厚生労働省がアクションプランを発表しました。

薬剤耐性菌とは何か

薬剤耐性菌とは、その名の通り薬剤に耐性を持った菌のことです。

なぜ薬剤耐性菌が生まれたのかというと、抗生物質の乱用が大きな原因と考えられています。

感染した菌に対し有効でない抗生物質を投与する、抗生物質の投与量が少ない、抗生物質の投与期間が長い、そもそも細菌が感染していない病気に抗生物質を投与するなど適切な抗生物質の利用ができていない場合、薬剤耐性菌が発生する原因となります。

これまで多くの国では感染症が死因になっている場合が多くありましたが、主に先進国における死因が徐々に感染症から非感染症に変化していきました。

この変化に同調するように新たな抗微生物薬の開発が減少していったことも、薬剤耐性菌が増えた一因と考えられています。

薬剤耐性菌は人間に感染する病原体だけでなく、動物分野においても発生が見られています。

動物分野における薬剤耐性菌は、治療の効果を低下させるだけでなく、動物を介して人間に感染する可能性も考えられるため、早急の対策が必要です。

薬剤耐性菌対策について

薬剤耐性菌について、世界でも日本国内でも対策の具体案が発表されています。

まず世界においては、2015年5月の世界保健機関総会で「薬剤耐性に関する国際行動計画」が採択され、加盟各国は今後2年以内に自国の行動計画を策定するよう取り決められました。

2015年6月のエルマウ・サミットでは、人と動物等の一体的な保健衛生の強化、新薬の研究開発への取り組みについて確認しました。

日本では、2015年11月に「薬剤耐性(AMR)タスクフォース」を厚生労働省に設置し、同年12月に「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」の枠組みの下「薬剤耐性に関する検討調整会議」を設置しました。

日本でも人と動物等の一体的な保健衛生の強化を原則として掲げ、2016年から2020年にかけて「普及啓発・教育」「動向調査・監視」「感染予防・管理」「抗微生物剤の適正使用」「研究開発・創薬」「国際協力」の6分野で対策の強化を計る動向を表しています。

世界的に抗生物質の投与方法を見直すことで、早急な薬剤耐性菌の減少を目指すことができるでしょう。

今後の成果に期待したいですね。

参照:厚生労働省

 

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