コーヒー1杯が鎮痛薬の作用を増強する?!

カフェインは、コーヒーやお茶など日常的に口にする飲み物に多く含まれていたり、風邪薬や鎮痛薬などに配合されていたりと、私たちにとって身近な物質です。それでは、カフェインにはどのような作用があるのでしょうか?


写真はイメージです。 photo by photoAC

カフェインの主な作用

カフェインはさまざまな嗜好品に含まれていますが、特にコーヒーに多く含まれることが知られており、コーヒー1杯あたりに100mg程度のカフェインが含まれていると言われています。

コーヒーを飲むと眠れなくなることや、トイレが近くなることをよく耳にしますが、これらはカフェインの効果によるものと考えられています。

カフェインは、おもに、アデノシン受容体の非特異的拮抗作用、ホスホジエステラーゼ阻害作用、細胞内貯蔵カルシウムイオンの遊離促進作用を有しています。

アデノシンは脳の活動性を低下させ、眠気を促す働きを担う物質であり、ヒトにはアデノシン1~4(A1~4)受容体が存在しています。カフェインとアデノシンの化学構造は似ており、カフェインは特にA1、A2A、A2B受容体に拮抗作用を有することが知られています。カフェインが受容体に結合することでアデノシンの結合を阻害し、そのことにより脳内の興奮性神経伝達物質の働きが活発になり、中枢神経を興奮させると考えられています。

そのほか、アデノシン受容体の拮抗による脳血管収縮作用や腎血流量増大に伴う利尿作用、ホスホジエステラーゼ阻害による気管支弛緩作用、胃酸分泌促進作用などさまざまな薬理作用をもつことが報告されています。

カフェインと鎮痛剤

数々の研究により、さまざまな作用が報告されているカフェインですが、「Kaffee plus Analgetikum – eine durchaus gute Kombi」では、鎮痛剤とカフェインを併用することにより鎮痛剤の効果が増強することを報告しています。

スイスで行われた研究では、頭痛患者さんに、鎮痛剤と併せてカフェイン100mg以上を服用させたところ、鎮痛剤の効果の増強がみられたことをすでに報告していますが、カフェインが鎮痛剤の働きを補助しているのか、あるいはカフェイン自体が鎮痛作用を発揮するのか、効果と摂取量は比例するのかなど不明なことがいくつかありました。そこで、著者は、これまでのカフェインについての研究を調査し、その作用やリスクなどについて探索しています。


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その結果、カフェイン自体の鎮痛作用によるものなのかは明らかではないものの、鎮痛補助薬として忍容性の高い物質であることが示唆されました。投与量については、最小有効量は100mgであるものの、効果と投与量に比例関係はみられませんでした。

リスクについては、胃部不快感やめまい、緊張などの副作用を報告している研究がみられました。リスクを報告している論文では、カフェイン含有の鎮痛剤が鎮痛剤乱用を促しているとありましたが、これに対して著者は、適量の摂取に対して健康上の懸念を抱かせるべきではないとし、鎮痛剤の乱用による頭痛のリスクが十分に浸透していないことのほうが問題であると主張しています。

これらの結果をうけ、著者は、今後カフェインが、鎮痛補助剤の選択肢のひとつとして提案されるべきと結論付けています。

 

 

カフェインはさまざまな作用を有しています。今回、コーヒー1杯分のカフェインが鎮痛薬を補助する効果があるとして、鎮痛補助薬としての忍容性が高いと報告されました。このことから、非ステロイド性抗炎症薬の使用が制限されている患者さんなどに対して、鎮痛補助剤の選択肢のひとつとなる可能性がしめされています。

 

 

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