子宮筋腫ってどんな病気?妊娠はできるの?子宮筋腫について詳しく紹介します!

子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍のことで、近年では4人に1人は子宮筋腫と診断されるとの報告もあります。今や珍しくない病気と言えるでしょう。また腫瘍とは、体の細胞とは違う独立した細胞が増殖したもので、こぶのようなかたまりです。この子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、悪性腫瘍(いわゆる癌)に変化することはほとんどないといわれています。この子宮筋腫はなぜできてしまうのでしょうか。妊娠は?これらについて、詳しくご紹介します。

 
写真はイメージです。 photo by photoAC

〇子宮筋腫はどうしてできるの?

子宮筋腫ができてしまう原因は、まだはっきりとはわかっていません。しかし、女性ホルモンの分泌の盛んな30代頃から筋腫と診断される人が増えることや、閉経すると一般的に筋腫は小さくなる傾向があることから、卵巣から分泌される「エストロゲン」という女性ホルモンが関係しているのではないかと考えられています。

 

〇どんな症状が出るの?

子宮筋腫の症状としては、月経過多や月経痛、貧血、頻尿、便秘、不妊などがあげられます。ただしこれらの症状は子宮筋腫の大きさや種類によっても異なるため、中には全く症状がなく、婦人科検診などで初めてわかる人もいます。それでは子宮筋腫にはどのような種類があるのでしょうか。

 

〇子宮筋腫は3種類

子宮筋腫は腫瘍のできた部位によって種類が分けられます。

まず1つ目は「漿膜下筋腫」という、子宮壁の外側にできる筋腫です。この筋腫は子宮の外側に飛び出すようにできるので、子宮内腔の変形がおこりにくく、症状がでにくいのが特徴です。しかし筋腫が大きくなると、子宮の周りにある膀胱や直腸などを圧迫するので、便秘や頻尿といった症状が出やすくなります。

2つ目は「筋層内筋腫」という、子宮の筋肉内にできる筋腫です。子宮筋腫の7割ほどはこのタイプといわれ、多発しやすく大きくなりやすいのが特徴です。この筋腫は小さいうちはあまり症状がでませんが、大きくなると子宮筋層が膨れ上がり、月経痛や月経過多、貧血などの症状がでます。またこの筋腫が大きくなると、卵管を圧迫することがあり、それが不妊の原因になることもあります。

3つ目は「粘膜下筋腫」という、子宮の内側に向かって大きくなる筋腫です。このタイプは筋腫が小さくても症状が強く出やすいことが特徴で、子宮内腔に直接影響するため、子宮内がデコボコしたり不妊の原因になりやすいといわれています。

 

子宮筋腫の発生部位 1. 漿膜下筋腫、2. 筋層内筋腫、3. 粘膜下筋腫 photo by wikipedia

 

〇子宮筋腫と診断されても妊娠はできる?

子宮筋腫があっても、必ずしも不妊になるというわけではありません。実際に子宮筋腫があっても妊娠・出産した人や、妊娠してから初めて子宮筋腫があることを知った人も数多くいます。ですが、実際に子宮筋腫が不妊の原因になることはあります。

子宮筋腫の種類によっても異なりますが、まず漿膜下筋腫の場合、子宮の外側にできる筋腫なので、妊娠出産にはあまり関係がないといわれています。一般的に不妊の原因となるのは、筋層内筋腫と粘膜下筋腫の2つです。

これらがなぜ不妊の原因になるかというと、筋腫のある部分は変形して子宮内がデコボコしてしまうことや、筋腫のある部分の内膜は薄くなり、受精卵が着床しにくくなるということがあげられます。また筋層内筋腫のように、大きくなって卵管を圧迫することで、卵子の通過障害が起こることも原因の1つとされています。

しかしこれらの子宮筋腫も、きちんと治療することで、妊娠できる可能性は十分にあります。

 
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〇どんな治療があるの?

妊娠を希望しているかいないかによって治療方針が異なります。

 

〈妊娠を希望していない場合〉

筋腫の種類や大きさによりますが、小さくて症状もなければ、経過観察が第一選択となります。一般的に、漿膜下筋腫や筋層内筋腫は、直径が数センチの小さいものは経過観察です。ただし、粘膜下筋腫では小さくても症状が強く出ることがあるため、この場合は手術となることもあります。

また、筋腫が小さくても月経痛などの症状がある場合、対症療法として鎮痛剤や漢方薬などが処方されることもあります。そのほか、低用量ピルや中用量ピルなどを使用して月経や排卵を薬で抑えるといったホルモン療法がおこなわれる場合もあります。これにより、月経痛や月経過多などのつらい症状を抑えることができます。しかしこれらはあくまでも対症療法なので、子宮筋腫を根本的に治そうとするものではありません。

根本的に治す方法としてはやはり手術となります。妊娠を希望せず、子宮を残さなくてもよい場合は子宮そのものをとってしまう「子宮全摘術」が行われる場合もありますが、子宮は温存したいという場合は、子宮の筋腫部分だけをくりぬく「子宮筋腫核出術」が行われます。

また近年では新しい治療法も出てきています。その1つが子宮動脈塞栓術(UAE)です。これは子宮筋腫につながる動脈を側線物質でふさぐことで、酸素や栄養を通さなくすることで、筋腫を小さくする、もしくは壊死させる方法です。これは局所麻酔か硬膜外麻酔で行われ、太ももの付け根に5mmほどの切開を施し、血管カテーテルを子宮動脈に挿入します。そして目的の動脈にゼラチン状の塞栓物を詰めて行います。


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また収束超音波治療(FUS)というのも比較的新しい治療法です。これは、MRIで幹部を撮影しながら、超音波のエネルギーで子宮筋腫のある部分を焼灼する方法です。

これらの方法はどちらも腹部に傷を残さずに治療できますが、妊娠を希望する人には推奨しないとされています。

 

〈妊娠を希望している場合〉

子宮の筋腫部分だけをくりぬく「子宮筋腫核出術」が一般的になります。ただし、漿膜下筋腫の場合、不妊の原因にならないことも多いため、この場合は治療せずに経過観察となる場合も多く見られます。


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子宮筋腫核出術を行う場合、お腹を開ける「開腹術」、お腹に小さな穴をあけて、カメラと細い器具を入れて手術をする「内視鏡手術」、そして膣から子宮鏡という器具を入れて手術する「子宮鏡手術」の3つの術式がありますが、身体への負担を考慮して、近年では多くは内視鏡手術が行われています。

この内視鏡手術は「腹腔鏡子宮筋腫核出術」とよばれ、全身麻酔で行われます。この手術によって、腫瘍部分のみをくりぬいて除去することで、根本的な原因を取り去ろうというものです。術後は13か月ほどで生理が再開し、2回ほど生理を見送ってからであれば、妊娠しても問題ないとされています。

 

〈まとめ〉

子宮筋腫と診断されても、必ずしも不妊になるというわけではありません。ただし、放っておくと症状が強くなったり、不妊の原因になることもあるので、気になる人は早めに産婦人科を受診しましょう。


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子宮筋腫は、正しく治療することで治せる病気です。そのため一人で悩まず、きちんと相談することが大切です。

 

 

 

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