歯科医療における移植とは?

移植というと、臓器移植などの医療を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は歯科医療においても移植はあるのです。

歯科というと、虫歯や歯周病の治療というイメージかもしれません。

では、歯科医療における移植にどんなものがあるのでしょうか。

◆歯牙移植

歯牙移植とは、歯の移植のことです。

口腔外科では一般的に行われていることが多く、何十年も前からある治療の一つになります。


写真はイメージです。 photo by illust AC

「虫歯で歯が持たない、抜かなければいけない」となったとき、その先の治療方針としてブリッジ・義歯・自費であればインプラントなどがありますが、以下の条件が合えば抜いたところに移植ができます。

移植に使える歯があること:健全な親知らず、生えている位置が異常などの理由で使われてない歯があること。

抜く歯と移植に使用する歯の大きさが似ていること:大きすぎ、小さすぎても使えません。

移植する部位に骨があること:歯周病で抜歯する場合、周囲に骨がないため、移植しても移植した歯を支えることができません。

◆骨移植

骨移植とは、顎の骨がない部位に自家骨と呼ばれる自分の骨や、人工の骨を移植することです。

歯周病が重症化すると、歯を支えている骨が溶けていきます。そこに骨を移植することによって、骨の位置に合わせて下がった歯茎が盛り上がり歯磨きしやすくなります。

ただ、歯周病における骨移植は、移植しても結合しない、また吸収してしまうこともあるため症例によっては難しいこともあり、有効性に関してはまだ確立されていませんが、成功している症例も多々ありますので歯科医との相談が重要です。

歯周病以外では、インプラントで骨移植を行うことが多々あります。インプラントは埋入したい位置に骨がなければ出来ないため、足りないところに骨移植を行います。

下顎枝、オトガイ部から骨を持ってくることが多いですが、骨隆起という骨の突起があればそこを削り移植に使うこともあります。


下顎枝とオトガイ photo by illust AC

◆歯肉移植

歯肉移植とは、歯茎が下がっている、歯茎が少ない位置に歯肉を移植することです。

加齢に伴って歯肉が下がってくる歯肉退縮と呼ばれる状態で、見た目が良くない・磨きにくく虫歯や歯周病に罹患する可能性が高い状態の方がいます。その場合、歯肉移植を行うことによって、審美的向上かつ予防につながります。


写真はイメージです。 photo by illust AC

また歯肉には、動かない付着歯肉と力を加えると動く遊離歯肉がありますが、歯に接している歯肉が遊離歯肉だった場合、動いて磨きにくく歯肉を歯ブラシで傷つけたりすることがあるため、移植をして付着歯肉を作ってあげます。

 

以上のように、歯科医療における移植にはいくつか種類がありますが、いずれにしても外科処置になります。口腔内が汚いと、手術をしても感染してしまうこともあるため、しっかりとプラークコントロールをして、メインテナンスもしてくれる信頼できる歯科医院を探すことが必要不可欠となります。

 

 

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