音響外傷って?一度の大きな音でも起こるの?原因や症状、治療について

音響外傷とは強い音響により、内耳の細胞を傷害し、難聴を来す疾患です。野外フェスティバルやライブコンサートの後に耳が痛くなったり、聞こえづらくなったりすることがありませんか?もしこれらのような症状がある場合、もしかしたら音響外傷かもしれません。

〇音響外傷の原因は?

音響外傷の原因としては、内耳にある蝸牛が障害を受けることによって生じます。蝸牛とは聴覚を司る器官で、外から聞こえた音を電気信号に変え、蝸牛神経を通して脳に音として伝えるはたらきがあります。


耳の構造 photo by illust AC 

音響外傷では、一度に強い音を聞くことで蝸牛を損傷することがあります。例えば、ガス爆発や銃の発砲などの強烈な音です。これらは日常的に耳にするような音ではありませんが、工場の現場や職業柄などによっては起こり得ることです。

また、一度の音はそんなに大きくなくても、長い時間大きな音を聞く、あるいは長期間習慣的に聞くことで難聴が起こってくる場合もあります。野外フェスティバルやライブコンサートの後に聞こえにくくなるような場合はこちらにあてはまります。特に歌手や音楽アーティストなどは、日常的に大きな音の環境下にいることが多くなるため、中には耳が聞こえにくくなるなどの音響外傷を発症する人もいるようです。

〇主な症状

症状としては難聴と耳鳴りが主です。難聴は「感音性難聴」、「伝音性難聴」、「混合性難聴」の3種類に分けられ、それぞれ感音性難聴は内耳が障害されたもの、伝音性難聴は音の通り道である外耳や中耳が障害されたもの、そして混合性難聴はこれらの両方が混ざったものになります。このうち音響外傷は内耳が障害されたものになるので、感音性難聴にあたります。

音響外傷の場合、4000Hzの音から難聴が始まることが多く見られるのが特徴です。4000Hzというと、アラームのタイマーなどの少し高めの音です。難聴のほかに耳鳴りの症状があれば早めに気が付く人も多いですが、症状が難聴だけの場合は、最初は気が付きにくいことが多いようです。そのため、難聴の症状が進行し、大体500~2000Hzの会話音域に及んでからはじめて気が付く場合もあります。


写真はイメージです。 photo by SILHOUETTE AC

〇治療

音響外傷と診断されたら、ステロイドの内服、ビタミン剤、代謝促進剤、血管拡張薬などが用いられます。内服により聴力はある程度回復しますが、蝸牛の細胞があまりに障害を受けていると、なかなか効果が期待できなくなってしまいます。そのため、音響外傷かもしれないと思ったら、早めの受診も大切です。

日ごろから仕事などで騒音下に従事している人は、耳栓や遮音レシーバーなどの着用により予防することが大切です。また聴力検査を定期的に受けることによって、早期発見に努めることも大事ですよ。

〇まとめ

音響外傷になると、早い段階であればある程度回復しますが、進行するとなかなかうまく回復せず、聞こえづらくなってしまいます。そのため早期に発見し、治療を受けることが大切なので、音響外傷を疑ったら早めに病院へ行きましょう。


写真はイメージです。 photo by photo AC

また、仕事でどうしても騒音の環境に身を置かなければならない場合は、日ごろの予防と定期検査を受けることが大切です。耳が聞こえにくくなる前に、できることから始めましょう。

 

 

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