[子どもが頭が痛いと言ったら]
子どもが「頭が痛い」と言ったらどう考えますか。まずは、「熱があるのかな」と考えてしまうのではないでしょうか。また、子どもの頭痛ぐらいと軽く考えたり、逆に、病院で検査しても異常がなかったといったことはないでしょうか。
ここ最近、小児科や脳神経外科などで子どもの頭痛の患者が多くなっています。頭痛を訴える子どもの約9割は「片頭痛や緊張型頭痛」といわれています。10歳以下の子どもの頭痛は少ないのですが、早い子供では小学校入学前から頭痛に悩まされる場合もあります。
調査によると子どもの片頭痛は約7.7%、緊張型頭痛は13.1%になります。12歳までは女子と男子とはほぼ同じですが、12歳をすぎると女子の割合が多くなり、男子の1.5倍以上といわれています。各病院の受診率からみてみると片頭痛が半数以上を占めています。
片頭痛や緊張型頭痛に悩まさられている大人の方も多いと思います。片頭痛や緊張型頭痛は辛いですよね。子どもの片頭痛や緊張型頭痛は、ほぼ、大人の片頭痛や緊張型頭痛と同じ症状です。
頭痛が慢性化すると「慢性連日性頭痛」になることもあり、不登校になる原因の一つといわれています。慢性連日性頭痛は2.2%の子どもにみられます。
このような子供の頭痛について、ドイツのArzteZeitungに「頭痛に悩まされる子どもたち─とても簡単な予防策とは?」という興味深い記事が掲載されました。
[頭痛に悩まされる子どもたち─とても簡単な予防策とは?]
-ドイツの子供の頭痛事情は-
ドイツでは約60%弱の子どもが頭痛の症状に悩まされています。この中でも女子が占める割合は男子に比べて約1.5倍です。頭痛は年齢に比例して上がっていき、約半数の子どもが頭の痛みとともに疲労感や背中の痛みを訴えています。頭痛を含む症状を引き起こす要因として多いのは運動不足、肥満、家庭内及び学校内でのストレスやいじめなどです。
このような不調の裏には睡眠不足や水分補給不足が隠れていることは珍しくなく、対応を講じることはむずかしいことではないと指摘しています。そのほかにも乳糖を含まない食生活などで改善される場合もあります。
-頭痛の引き金となる要因を特定するには-
小児科医学会議の中で小児科医のStephanie Bosserhoff氏は、いままでに試みた治療法やどうやって改善していくという目標を明確にするために患者自身に話してもらう手法として「PELZモデル」を推奨しています。
PELZモデルとは P:患者さんからの問題点を話してもらう。 (Problemschilderung durch den Patienten) E:患者さんが抱える頭痛の症状や家族構成を話してもらう。 (Eigene Erklarungen fur den Kopfschmerz sowie Erklarungen von Angehorigen) L:これまで行なってきたことがある治療方法と効果が実感できたものはあったかを話してもらう。 (Schilderung der bisherigen Losungsversuche und welche Erfolge bereits erzielt wurden) Z:これから目標とすべきこと、そのためにどうしていくかを考えていく。 (Zieldefinition: Was soll erreicht oder verandert werden) |
そのうえで、頭痛を解決していくために頭痛の記録をつけます。頭痛の記録をつけることで頭痛の引き金となる要因を特定していくことが、頭痛をコントロールする鍵になります。頭痛の状態、睡眠時間、食事時間、さらにパソコンやスマートフォンにさいている時間を出来る限り正確に記録させます。
たとえば、頭痛が週末に発生しやすい場合には、その週に蓄積してきた睡眠不足の結果であると考えられます。よくある理由としては夜中まで友人とスマートフォンを通してやりとりをしているというものです。夜間にスマートフォンが部屋のどこに置いているかチェックすることも必要になります。頭痛が月曜日に起こりやすいという場合には、週末の不規則な睡眠によるものだと考えられます。
学校で過ごしているときに頭痛が起きやすいという場合には、食事及び水分補給について確認した方がいいとStephanie氏は述べています。子どもや若者たちにとって水分補給は簡単な頭痛の予防法としています。
-頭痛を防ぐためにはどうすればいいの?-
治療法については非常にシンプルです。少なくとも患者の6割に睡眠や飲食に関する指導を行うことによって改善が見られたとの報告もされています。
・平日と変わらず週末も規則正しく適切な睡眠時間をまもる。
・規則正しい食事を心がけ、こまめに水分補給を行なう。
また、子どもに定期的に何も計画を入れない「リラックスタイム-自由時間」を取り入れてあげるのも頭痛の予防につながります。子どものスケジュールを見直し、適切な「リラックスタイム」を取り入れてあげましょう。
そのほかの原因としては、乳糖を多く含む牛乳をはじめとした乳製品を摂取するとおなかが痛くなる、おなかの調子が悪くなる「乳糖不耐症」によるものも考えられます。
乳糖不耐症は診療内でもよくみられる症状です。症状は腹部に限るわけではなく頭痛などが発症することもみられます。また、家族歴が陽性の場合には、乳製品の摂取方法を工夫することも大切になります。
-子供の頭痛には-
以上がドイツからの報告になります。大人でも頭痛は辛いものですよね。子どもの頭痛は、まずは親が「認めてあげること」が大事だと言われています。親がわかってくれたと思うだけで痛みがやわらぐ場合があるといわれています。また、子どもの生活パターンも注意してあげたほうがよさそうですね。
子どもの頭痛のなかには少ないながらも大きな病気による頭痛もあります。激しい頭痛、けいれん、意識障害、ふらつく、物が二重に見えるなどの症状がでている場合には、すぐに設備が整った病院を受診してください。
子どもが頭痛に悩まされているなら、まずは、いきつけの小児科のお医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。それでも頭痛が長引く、学校に行けないなどの場合には神経内科や脳神経外科などの受診も考えてみましょう。
コメント