Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で２型糖尿病と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。
94 Aさんの現在の状況のアセスメントで適切なのはどれか。
- 緑内障が疑われる。
- 運動療法が必要である。
- 糖尿病性神経障害が疑われる。
- 高蛋白質の食事摂取が必要である。
糖尿病の三大合併症として知られる「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」は、いずれも細小血管障害であり、糖尿病発症後10年前後の経過を経て、出現すると考えられています。Aさんの場合は、１年前からの足のしびれから、糖尿病性神経障害が疑われます。
血糖コントロールが極端に悪い場合や重篤な合併症がある場合は、運動療法を制限したり、禁止する必要があります。
持続性蛋白尿がでているので、低蛋白質の食事摂取が必要になります。
よって答えは３になります。
95 Aさんは、3か月前に 末期腎不全の状態で腎代替療法(血液透析)が必要であると腎臓内科の医師から説明された。シャント造設のための入院を予定していたが、仕事が忙しく延期となっていた。1週前から感冒症状があり、体重増加、全身浮腫、全身倦怠感、呼吸苦が出現したため、緊急入院となった。透析用のカテーテルを挿入し、緊急血液透析を行った。
入院時の身体所見：体重73kg(1週間で4kg増加)、血圧178/105 mmHg。
入院時の検査所見：Hb 9.5g/dL、血清尿素窒素72mg/dL、血清クレアチニン9.0mg/dL、血清カリウム6.8mEq/L、血清ナトリウム138.5mEq/L。
緊急入院時のAさんの胸部エックス線写真(別冊No. 5)を別に示す。Aさんが緊急血液透析となった病態で正しいのはどれか。
- 貧血
- 心不全
- 低カリウム血症
- 低ナトリウム血症
採血から血清クレアチニン9.0mg/dL、血清カリウム6.8mEq/Lと腎機能の低下が認められます。Ｘ線画像上、心不全、肺水腫が認められます。腎不全に伴う、尿毒症・心不全が認められるため、緊急透析の適応となります。
Hb 9.5g/dLと、貧血を認めますが、緊急透析の適応とはいえません。
血清カリウム6.8mEq/Lと高カリウム血症を認めます。
血清ナトリウム138.5mEq/Lでは、低ナトリウム血症とは言えません。
よって答えは２になります。
96 Aさんは、緊急血液透析によって全身状態が改善した。その後、シャント造設術を受け、週3回の血液透析となり、退院後は職場に近いクリニックで維持血液透析を受けることが決定した。Aさんから、退院後の生活について｢仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です｣と発言があった。維持血液透析により身体障害者手帳を取得したAさんが利用できる医療費助成制度はどれか。
- 医療扶助
- 自立支援医療
- 訪問看護療養費
- 認定疾病に対する医療の給付
等級や自治体によって異なりますが、身体障害者手帳が交付されると、①障害者医療費助成制度②所得税・住民税の控除③公共交通機関の障害者割引➃自立支援医療の給付などの対応がされます。
よって答えは２になります。
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