新たな出生前診断NIPTで偶発的に癌を発見することがある

晩婚化がすすみ、高齢出産が増加している現在、出生前診断を受ける女性も増えてきています。最近では妊婦、胎児に負担の少なく、精度の高い検査も出てきており注目をあびています。


写真はイメージです。 photo by pixabay

今注目のNIPTとは?

出生前診断は、出産する前に、赤ちゃんに先天性疾患や染色体異常、奇形などがないか調べる検査の総称です。妊婦検診で異常が疑われた場合や、高齢出産の場合、以前の妊娠または分娩で胎児が染色体異常をもっていた場合などに検査が行われることがあります。

出生前診断はいくつか検査方法があり、NT超音波検査や母体血清マーカー、絨毛検査、羊水検査などがあげられます。そのなかで、新しい方法として話題となっているのが、無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)です。

NIPTは妊婦さんの血液を採取するだけで、遺伝情報を解析し、胎児の染色体異常を調べることができる検査方法です。NIPTによりダウン症や18トリソミー、13トリソミーの染色体異常をしらべることができます。

NIPTは羊水検査や絨毛検査に比べて、リスクや母子への負担がほとんどなく、また、従来の血液をもちいた検査と比較して精度が高いことが特徴です。ただし、NIPTにて陽性であっても100%確実ではないため、確定診断のため羊水検査や絨毛検査をおこなう必要があります。


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母体のがんも検出することがある?!

簡便で精度の高い検査として注目されているNIPTですが、胎児の染色体異常だけではなく、妊婦さんの疾患も検出される可能性があるという報告もされています。2015年9月に発表された論文「Presymptomatic Identification of Cancers in Pregnant Women During Noninvasive Prenatal Testing」では、実際にNIPTにより母体のがんが判明したことを報告しています。

本論文では、NIPTをうけた妊婦さんのうち、母体および胎児に起因しない異常なゲノムが検出されたことを報告しています。がんが疑われ、MRI検査をおこなったところ、卵巣がん、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫が確認されました。腫瘍生検にて検査したところ、NIPTの結果と合致する結果が得られました。

このことから、NIPTは、症状がでる前のがんを検出できる可能性があることが示唆されました。確率は低いながらも、NIPTで異常がみられた場合には、母体のがんの可能性もあることを呼びかけています。

出生前検査についてはさまざまな意見があり、倫理的な問題や精神的な負担などの問題点もあります。簡便で低侵襲性の検査方法も出てきていますが、まずは、出生前検査をするのか夫婦でよく話し合い、理解を深めた上で決断することが大切です。

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