高齢になるほど認知症の人の割合は高くなり、85歳以上では約3~4人に1人が認知症であるといわれています。
厚生労働省でも今後、人口の高齢化に伴い、認知症の人は年々増加していくと予測していますが、
米国で行われたHealth and Retirement Study(HRS)の最新研究結果に基づいて考えると、今後日本でも認知症の発症率が低下する可能性があります。
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教育年数が長いと認知症のリスクは低下する
ミシガン大学の研究グループは、米国の65歳以上の経時的な調査であるHRSのデータをもちいて2000年と2012年の認知症の発症率を比較しました。
結果、認知症の有病率は2000年の11.6%から、2012年には8.8%へと優位な低下を認めました。
研究グループは、有病率が低下した要因として、①認知症の原因となる血管系イベントの改善②教育年数の延長をあげています。
特に研究グループが強調するのは、教育年数の延長です。2000年から2012年で教育年数の平均は11.8年から12.7年に延長していました。
さらに、教育年数と認知症の関係について検討したところ、教育年数が16年以上の人は、認知症発現のオッズ比が4分の1程度に減少していました。
認知症の有病率が低下している報告があった
2016年2月にもNEJM誌でフラミンガム心臓研究の参加者を比較したところ、
30年間にわたり経時的に認知症の発症率が減少していることが明らかになっています。
この論文では、認知症の原因となる血管系イベントの改善が認知症の発症率の改善に寄与しているが、
それだけでは十分には説明できず、さらなる原因の追究が必要であるとしています。
教育年数がながくなると認知症の発症率が下がる
今回の発表により、教育年数の延長が認知症の発症率を改善しているのではないかと示唆されました。
認知症の発症率を改善した理由としては、高い教育を受けたものは健康に関する情報の理解力が高く、
その情報をもとにした生活習慣をおくれること、教育自体に認知症の抑制につながる効果があるのではないかと考えられます。
今後日本でも認知症の発症率が低下する?
日本では、教育と認知症の関係について調べた研究はありませんが、
今後大学教育まで受けることが当たり前の世代が、歳をかさねるごとに教育と認知症の関係を調べた研究が進んでいくと考えられます。
参照:JAMA Internal Medicine
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