持続血糖測定器とインスリンポンプ療法

糖尿病患者さんは日本に316万人以上いると言われ、年々増加しています。

高血糖状態が続くと血管障害や腎機能の低下、失明、神経障害など重い疾患につながるため、治療により血糖値を下げることが必要となります。

しかし、血糖値が下がり過ぎても身体によくありません。ひどい場合だと意識障害や昏睡に陥ることがあるため注意が必要です。糖尿病の治療では適度に血糖値を保つことが大切となります。

糖尿病の治療では毎日の血糖値を把握するのが大切

糖尿病治療では、病院などでのHbA1c値などの測定の他に、毎日自身で血糖を測定して数値を把握する血糖自己測定を行う場合があります。特にインスリン療法を行っている患者さんは測定が必要です。

自己測定を行うことで血糖の変動を把握できるだけではなく、効果的なインスリン注射療法ができるなど多くの利点があります。

しかし、従来の血糖測定器は使用した瞬間の血糖値しか測定できないため、測定していない間どのように血糖が変動しているか把握できませんでした。

血糖自己測定だけでは高血糖、低血糖が見逃される可能性があり、より継時的に血糖を測定する必要性が高まっています。

持続血糖測定器とは

そこで開発されたのが持続血糖測定(Continuous Glucose Monitoring:CGM)です。CGMは一定の間隔で継続的に間質液中のグルコース濃度を測定する方法です。

間質液中のグルコース濃度は血糖値と相関することが確認されています。

interstitial fluid ; 間質液

CGMにより継続的に、血糖変動をみることができるようになり、自己測定では見つけられなかった高血糖や低血糖が明らかになることが期待されています。

現在発売中の持続血糖測定器

現在、メドトロニックiPro2やFreeStyleリブレProなどいくつかの持続血糖測定器が発売されています。

メドトロニックiPro2は5分おきに、最大7日間測定できる測定器です。腹部などの皮下組織に専用のセンサーを装着し、測定後レコーダーに記録された測定値をグラフなどで解析することができます。

FreeStyleリブレProは15分おきに、最大14日間測定することができます。センサーを患者さんの上腕部裏側に装着し測定を行います。

従来の持続血糖測定器はキャリブレーション(自己血糖測定による補正)が必要でしたがFreeStyleリブレProでは不要であることが大きな特徴です。

インスリンポンプ療法とは

CGMはさらにインスリンポンプ療法とよばれる治療法にも応用されています。

この療法ではCGMとインスリンポンプを組み合わせて使用します。測定された血糖値が随時インスリンポンプの画面に表示されリアルタイムで血糖値をみることが可能になるため、良好な血糖コントロールにつながると言われています。

また、高血糖、低血糖時にアラームでお知らせされるため素早い対処が可能になる利点もあります。

CGMにより今まで把握できなかった血糖の変動を自動で細かく解析できるようになり、個人にあった治療を選択できるようになります。

良好な血糖コントロールにより、患者さんがより長く、より質の高い生活を送れるようになることが期待されます。

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