かぜの漢方薬 麻黄湯と麻黄附子細辛湯の違いとは


写真はイメージです。(C)Hipohige.com

漢方は、体全体に注意をはらい体調を整えることを旨とします。それゆえ、病気の症状改善を第一とする西洋医学とはことなり、ひとり一人の体質にあわせた処方をおこないます。

体全体の調子を向上させ治癒をはかる漢方も、目的とは違う誤った使い方をすると、本来の治癒効果を得ることはできません。

似ていてもことなる効能

漢方薬の中には、名称の似ているものがあります。今回ご紹介する「麻黄湯」と「麻黄附子細辛湯」もその一つです。名称に同じ文字が入っているため、同じ質の効能と思われがちですが、症状や体質でそれぞれの用い方がことなります。

麻黄湯と麻黄附子細辛湯の違いとはどのようなものでしょうか。

麻黄湯・マオウトウ

天然の生薬、麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)・杏仁(キョウニン)・甘草(カンゾウ)4種類の組み合わせで作られた漢方薬です。風邪のひきはじめの悪寒や寒気、頭痛や発熱、ふしぶしの痛みの緩和に用いられます。

麻黄や桂皮による発汗作用が強いのため、体力が十分にある人に適しています。体の芯を温めるというよりも、寒さや冷えが原因の悪寒や頭痛などを発汗と共に吹き飛ばすイメージですね。

発汗を促進する作用のため体力を消耗します。このため、ふだんから汗を多くかく体質の人や術後など体力が落ちている人への使用は好ましくありません。

麻黄附子細辛湯・マオウブシサイシントウ

麻黄(マオウ)・附子(ブシ)・細辛(サイシン)3つの生薬から作られ、風邪のひきはじめに用いられますが、冷え性や体の弱い人に適しています。麻黄湯と同じように発汗作用をもち、

熱や痛みを緩和させますが、麻黄湯との大きな違いは、附子の効果で体を芯から温め痛みをやわらげる働きです。

常に体の芯から冷えている人が、さらに寒さを受けることで発症する悪寒や倦怠感、各部の痛みを体の中からしっかりと温め治すイメージです。

この働きのため、体力が十分にある人やのぼせやすい人には向かず、極端に体力が落ちている人にも適しません。

漢方は症状・体質にあわせて

麻黄湯と麻黄附子細辛湯の違いをみてきました。麻黄湯は、体力が充実している人が発汗と一緒に冷えや原因を治し、麻黄附子細辛湯は冷え性や虚弱体質の方が用いることで効果を発揮します。それぞれの特性を理解して漢方を有効に活用しましょう。

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