患者さんにあった看護サービスを提供する指標となる看護必要度

看護必要度とは?

看護師の不足により、一人あたりの患者さんに対する看護の質の低下が懸念されます。看護師一人あたりが受け持つ患者さんが多くなるほど、各患者さんに対する看護の質が低下してしまう恐れがあります。そこで、厚生労働省は看護師一人あたりに対し、七人の患者さんを受け持つ体制(7:1)を推奨しました。

その過程で厚生労働省が定めた、患者さんに必要とされる看護量の程度を評価するものさしのことを「看護必要度」と言います。

看護師が患者さんに合ったADL(日常生活動作)や必要な処置等をカルテに記載することで評価が行われます。

そもそも、なぜ看護必要度での評価が必要なのか

同じ7:1の看護体制にある病棟であっても、症状が落ち着いている回復期の患者さんと、ICU(集中治療室)など高度な看護が必要とされる患者さんでは看護師が提供するサービス量には差が出てきます。

そのことから、看護必要度を導入し、患者さんに合った看護サービスの必要度を評価することで、看護師の業務量を推計し、配置人数を調整しやすくなるという仕組みになっています。


写真はイメージです。 photo by flickr

看護必要度は、平成八年から看護を可視化するツールとして看護職により研究が始まりました。現在では地域包括ケアシステム(高齢者が要介護状態であっても、住みなれた地域で自分らしい生活を最期まで送れるように地域がサポートし合う社会のシステム )が徐々に構築され、医療提供体制における病棟運営の指標として、ますます医療の質の向上と医療機関の経営形態では重要な指標になるとされています。

近年7:1病院が増加しすぎたことから、厚生労働省は適正な数に戻し「適切な病院に適切な看護師数を配置できるよう、7:1の適正化を図りたい」という意向を示しました。その際、看護必要度の評価を指標とすることが定められました。

病院経営と看護必要度の関係

看護必要度の評価で重要であるのは、看護師が患者さんに提供した看護サービスを的確に評価することです。

看護師が評価したものが、7:1病院として適正か適正でないかを評価する際の必須項目となり、勤めている医療機関に直接的に大きな影響を及ぼすことになります。

厚生労働省の「医療経済実態調査」では日本の病院の現状、四割の病院が赤字経営という結果が出ています。経営主体別では、公的医療機関(国立・効率・自治体運営等)で七割、医療法人でも三割が赤字であり、とても厳しい状況にあります。

仮に、看護師により記載されたカルテ記録内容で看護必要度と一致しない内容があると、7:1病院として評価されなくなる可能性があり、病院の収益が減少してしまうことも考えられます。そのことから、看護必要度の評価が病院の経営方針にも影響を及ぼすとされています。

高齢化が進歩する現代では、患者さん、またそのご家族の身体的・精神的・金銭的負担の増加が懸念されています。一方、病院経営は深刻な状態や、医療従事者の労働環境についてもさまざまな課題を抱えるなか、看護必要度は病院関係者の方々の関心を高め、注目されつつある課題です。

まとめ


写真はイメージです。 photo by PublicDomainPictures.net

看護必要度は、患者さんに対する看護師などの人員確保を目的として導入されていますが、未だ確立はされていません。しかし、病院の全体像を捕らえ、人員を確保する上では重要なツールとなります。

看護必要度の評価では、すべての詳細を把握することは困難であるものの、全ての医療機関で導入されています。

今後、医療従事者と患者さん、双方にとって最適な評価基準の確立が求められるとともに、医療従事者がよりいっそう看護必要度を熟知する必要があるでしょう。。

 

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