無痛分娩とは 急増している無痛分娩とリスクについて

女性にとって出産とは、嬉しいことと同時に、命がけでもある出産を不安に思う人は多いのではないでしょうか。

不安の要因となる分娩の際の痛みは、この世のものとは思えない程強く「鼻の穴からスイカ」や「何度も気絶した」と経験者は語ります。陣痛の痛みや時間の程度はその人によって異なりますが、決して楽に産める出産は一つも存在しません。

 


写真はイメージです。 photo by PublicDomainPictures.net

しかし、これまでの日本では、「分娩に痛みはつきもの」や「痛みを感じて産むから、我が子が可愛い」と長時間にわたる陣痛の苦しみに耐え、出産することが当然のこととされてきました。その際の体力の消耗はとても大きく、後の子育てにも影響すると言われています。

しかし、以前と比較して、高齢出産の割合が高くなったことや、出産後の早期職場復帰する女性が増加していることから、最近では「無痛分娩」を希望する妊婦さんが急増しています。そして、無痛分娩のメリットは大きいと認識している妊婦さんが多いです。その一方で、死亡事故のリスクがあることを知っていますか?

無痛分娩とは

麻酔薬を使用し、陣痛の痛みを和らげながら出産する方法です。麻酔を使用するからといって、完全に眠ってしまうわけではなく、下半身だけの麻酔が用いられ、意識はある状況での出産となります。

そのことから、痛みは軽減されますが、通常の分娩と変わらず「意識のある中」で行われるのです。

しかし、無痛分娩の「無痛」とは、完全に痛みがなくなるわけではなく、「鎮痛作用」を利用して「痛みを軽減する」ということが目的とされているため、人により痛みを感じるということは知っておいてください。

方法としては、いくつか種類はありますが、もっとも安全とされ主流となっているのが「硬膜外麻酔」と呼ばれるものです。背中から針を刺し、その針を介して「硬膜外腔」という場所へ管(カテーテル)を挿入します。そしてその管から下半身麻酔の作用がある薬を注入していきます。

 


写真はイメージです。 photo by pixabay

もちろん、ここでは局所麻酔を使用しますが、身体に針を刺す痛みは当然あります。他にも点滴から鎮痛薬を流す「静脈麻酔」という方法もありますが、「硬膜外麻酔」と比べ、鎮痛作用が弱いものになります。

無痛分娩のメリットとしては、分娩時の痛みが減少するだけでなく、母体の体力消耗も最小限にでき、出産後の回復が比較的早いというところにあります。

デメリットとしては、まず、通常の分娩よりも費用が高くなることがあげられます。また、痛みをやわらげる効果には個人差があり、中には想像していた効果が得られない場合もあります。

しかし、逆に麻酔効果が強すぎて、いきむタイミングが分からなくなったり、子宮の収縮が微弱になってしまい、吸引分娩などが選択される確率が高くなるとされています。

無痛分娩のリスク

硬膜外麻酔・静脈麻酔どちらの無痛分娩を選択しても、生まれた赤ちゃんの出産直後に行う「アプガー指数(心拍数・呼吸状態・皮膚の色・反射などを点数化するテスト)」では、特に異常もなく、母体への悪影響も認められていないと、研究結果であげられています。

しかし、近年無痛分娩での出産が急増する中、死亡事故のニュースをよく目にかけます。その原因の一つとして、「硬膜外麻酔」による、麻酔事故が挙げられています。

硬膜外麻酔の危険性


写真はイメージです。 photo by flickr

硬膜外麻酔は、背中から針を刺し、その針を介して「硬膜外腔」という場所へ管(カテーテル)を挿入します。その管から下半身麻酔の作用がある薬を注入していくという方法で行われる麻酔ですが、通常、全身麻酔下で行われる手術に併用して行われます。

その際にも、頭痛・血圧低下・徐脈・吐き気・嘔吐・呼吸抑制などの副作用に加え、血種や神経損傷といった、重篤な合併症のリスクがあるとされ、副作用が直接の死因となった死亡例も、いくつか報告されていることから、100%安全な麻酔法とは言えないのです。

そして、医療機関には、必ず麻酔を専門とする医師が、存在しているとは限りません。医療者側は、非常に多くの事故が起きていることに対しての、対策を立て、全ての女性が安心して、出産に挑める時代が来ることを期待します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました