大人のゲーム依存症 ゲームをやめたいと思って、やめられなかったことはありませんか<後編>

<前編>ではゲーム依存症の増加や特徴についてみてきました。ゲーム依存症について、さらにみていってみましょう。

[ゲーム依存症になると]

ゲーム依存症になるとからだにどのような影響がでるのでしょうか。主婦の方は仕事を家事や育児に置き換え、職に就いてないかは仕事の部分を省いてみてください。

睡眠不足や睡眠障害へ

ゲームを夜遅くまでやってしまう、寝床に入ってもゲームをやってしまうことによって睡眠時間が短くなる、なかなか寝付けないなど睡眠不足の症状が現われるようになります。

朝起きられずに会社に遅刻する、睡眠不足のために昼間眠くなってしまうことで仕事の能率が下がる、眠たくて仕事にならないといった影響が出ます。仕事を休んでしまうこともあります。

仕事へ影響がでる

仕事への影響は睡眠不足だけではなく、ゲームが生活の大半を占めて仕事より優位になってきます。そのため、仕事がおろそかになる、仕事への集中力を欠くようになります。また、仕事への責任能力が薄れ、仕事の業績への低下がみられることがわかっています。ひどくなると仕事を辞めてしまうこともあります。

ゆううつ気分や無気力へ

ゲームはドーパミンの放出を増加させますが、長時間ゲームを行うと多くのドーパミンを放出します。これを繰り返しているうちにドーパミンへの脳に耐性ができてしまい、より、多くのドーパミンを求めるようになります。

しかし、ドーパミンの生産量には限界があり、回復にも時間がかかります。ゲームを繰り返すうちにドーパミンの欠乏からゆううつ気分や無気力が生じます。進んでしまうと、うつ状態にまでなるといわれています。

人間関係が希薄に

ゲームの世界に浸ってしまうと、会社関係の同僚や部下、友人などとつき合うといったことが少なってきます。そのために人間関係が希薄になっていきます。希薄になることで人間関係に緊張感や不安感を感じるようになって消極的になっていきます。大人でも閉じこもりといったことがあらわれる場合もあります。

写真はイメージです。photo by irasutoya

神経が過敏になる

ゲームの依存が強くなれなるほど、ゲームをしていないとイライラする、感情的になるなど攻撃性が強くなることがみられます。また、現実世界とゲームの世界の区別がつかなくなり混乱してしまうこともあります。

家庭に問題が起きる

家庭にいてもゲーム主体の生活をするようになり、仕事から帰ってきて夜遅くまでゲーム、休日もゲームといったことがみられ、ゲームを中断されるようなことやゲームのやりすぎを注意されて感情的になってしまうようなこともみられます。

その結果、家族との関係が疎遠になり、夫婦関係や家庭関係にヒビがはいるようなります。家族崩壊にも繋がりかねません。

経済的破綻へつながる

大人はお金やクレジットカードが自由に使えます。課金するとゲームの中で強くなれます。強くなるとゲームの仲間から賞賛され、頼られたりもします。ゲーム内のイベントなどあるとそのたびに課金をします。その結果、だんだんとゲーム内での課金額が増えるようになっていき、課金に歯止めが効かなくなります。

あるだけの現金でゲーム専用カードを買う、クレジットカードを利用限度額一杯まで使う、消費者金融などからお金を借りるといったことがでてきます。働いたお金は借金に消えていき、ひどくなると自己破産といった事態も招きます。

さまざまな身体症状が現われる

長時間ゲームをすることでからだのあちこちに影響を及ぼします。ゲーム画面を何時間も見続けるための視力の低下、ドライアイ、角膜障害などを起こします。よくみられるのが頭痛、首痛、肩こり、腱鞘炎、手根管症候群などです。

ゲーム時間を多くなることで運動不足になり肥満にもつながります。座り続けることによって腰痛、痔などの原因や悪化にも繋がります。ゲームに依存してしまうとこのような症状がでても、無理してもゲームをして、さらに体調は悪化します。ひどくなると悪くなっても気が付かないという場合もあります。

ゲームをやめることができない

もちろん、これらの状態に気が付いて、ゲームをやめなくてはいけないという意識も働きます。しかし、依存のほどが強くなると、やめようとしてもやめられなくなっていることが多く見られます。このやめることができないのが依存症の典型的な症状です。一度、やめたつもりでも、またゲームの世界に戻ってしまうケースも多くみられます。

写真はイメージです。photo by pixaboy

ゲームに依存してしまっている状態からどのようにしたら抜けられるのでしょうか。

[ゲーム依存症は自覚から]

ゲーム依存症について重要なのは、本人の自覚と依存から離脱するという意思が必要になりますが、「やめようと思えばすぐにやめられる」、「自分より長時間やっている人や課金している人がいる」、「誰にも迷惑はかけていない」などと考えて自分自身の問題から避けようとすることがあります。

また、よく問題となるのがゲーム仲間です。ゲーム仲間といると楽しいと思う、安心できると思う、ゲーム仲間が頼ってくれる、ゲーム仲間に迷惑をかけられないという意識が働いてやめることができない方もいます。

ゲームをやめなくてはならないと意識のある方ができる取り組みは以下のようになります。まずは、書き出してみて現実を把握してみましょう。

・ゲームに費やした時間や課金額を紙に書き出してみる。そのために起こったことも書き出す。

・ゲームのために失った事やゲームで何が得られたかを紙に書き出してみる。得られたことはありましたか。

・スマホやパソコンの管理を家族に任せる。課金できないようにクレジットカードを家族に渡す。

・ゲーム以外で楽しめる趣味を見つける。

しかし、本人の治療意欲が低い、家族は気がついているが本人に自覚がないか自覚しようとしない、ストレスなどの精神的な問題を抱えているなどの場合には簡単にはやめられません。

アルコール中毒、薬物中毒をやめようとしたときにでる離脱症状がゲーム依存症にあることが知れています。同じように再発のあることも知られています。また、うつ病患者がゲームの世界に逃避するケースもありますので注意が必要です。

現在、ゲーム依存症を含めた「ネット依存症」は国際的に精神疾患として認定されておらず、WHOの「疾病および関連保健問題の国際統計分類第10版」にはネット依存症が掲載されていません。

WHOは次回の2018年の改訂に向けて「ネット依存症」のワーキンググループが作られ、取り入れることを表明しています。国内においては、治療を行う専門的な医療機関は少ないのが現状ですが、ネット依存症を専門的に扱う医療機関もあります。

少しでも本人に自覚があるがやめられない場合、家族が気がついていても本人の自覚がない場合には、本人もしくは家族が医療機関に相談してみましょう。

写真はイメージです。photo by irasutoya

[病院への相談も考えてみましょう]

ネット依存症の治療では薬物療法は行いません。カウンセリングや認知行動療法などの心理療法がおこなわれます。具体的な治療の例をみてみましょう。

「久里浜医療センターのネット依存治療部門」では、初診時から4回かけて体と心の状態の評価をします。診察に4回もの時間をかけるのは、患者さんの心身の状況を正確に把握し、患者さんと臨床心理士が良好な関係を築くためです。

臨床心理士などとの個人カウンセリング、集団ミーティング、体力回復のための運動、ネット依存からの回復することを方法など学ぶ認知行動療法がセットになった治療を行います。場合によっては入院治療も行います。

また、ネット依存症の家族会や自助グループも各地にありますので相談してみてもいいでしょう。

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ゲームが好きな方は多いと思います。気晴らしでゲームをおこなうことは悪いことではありません。ゲームがすべて悪いのではなく、ゲームと生活のバランスを崩さないことが大事です。バランスが崩れると依存症へと進むきっかけになってしまいます。

バランスを崩さないように、ほどほどにゲームを楽しんでくださいね。ほどほどにゲームを楽しんでいる方を参考にして、遊ぶといいかもしれません。

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