大人のゲーム依存症 ゲームをやめたいと思って、やめられなかったことはありませんか<前編>

[最近のゲーム事情]

家庭用ゲームが普及しはじめた頃には据置型のゲーム機が主流でした。その後に、携帯型ゲーム機が普及していきます。

一方で、携帯電話(以下、ガラケーと記載)の普及にともなって、ガラケーを使ってどこでも気軽に遊べるゲームが急激に増えました。今ではスマートフォン(以下、スマホと記載)の急速な普及でスマホが主役になっています。また、パソコンも多くの家庭で使われるようになり、パソコンでも同じようなゲームが遊べます。

昔のゲームは「ゲームソフト」を購入して1人もしくは数人で遊ぶものでクリアしてしまうとだいたいは飽きて終了です。

今のゲームはインターネットを使用し、オンラインでリアルタイムに繋がっています。1人で遊ぶこともできますがネット上で複数人で遊ぶゲームが多く見られます。クリアして終わるというシステムではなく、いろいろと飽きさせないように新しい仕組みやアイテムなどを追加されて長く遊べるのが特徴です。出口のないゲームともいわれます。

これらのゲームは、だいたいは無料で、気軽に始められるようになっています。ゲームにでてくるさまざまなキャラクター、クエストやイベントをクリアする、ほかのユーザーとの交流する、ほかのユーザーと協力してプレイするなど誰でも楽しめるように作られています。

また、課金することでしか手に入れられないアイテムや期間限定のアイテムが設定されています。ゲームを進めていくにつれて、強くなりたい、ゲームを有利に進めたい、欲しいキャラクターがあるなど課金させるような仕組みになっています。

[ゲーム依存症が増えています]

ネットゲームは手軽さから爆発的に普及します。普及するにつれてゲームにのめりこんでしまうネットゲーム依存症(以下、ゲーム依存症と記載)の問題が取りざたされるようになりました。この問題はスマホが普及してからではなく、ガラケーの頃から問題は出ていました。スマホやパソコンの普及がゲーム依存症の増加に拍車をかけました。

2013年の調査でパソコンやスマホが原因のネット依存症の傾向のある成人男女が全国で推計421万人に上ることがわかっています。成人男女と子供を合わせると500万人を超えると推定されています。その数は、年々増加しています。

ネット依存症の男女比は5:1で男性に多く見られます。ここでいっているネット依存症は大きく「ゲーム依存」と「SNS依存」に分けられます。男性にゲーム依存が多く、女性ではSNS依存が多くみられます。

ネット依存症の多くはゲーム依存症です。子供や中高生のネット依存症については、よく、とりあげられていますが、大人のゲーム依存症もあなどれないものです。

今回は、大人のゲーム依存症についてみていきましょう。子供や中高生のネット依存とも同じような側面もあるのですが、大人は経済的自由があり、生活面の自由もある程度あることが異なってきます。

写真はイメージです。photo by zeebaa

[ゲーム依存症の特徴は]

ゲーム依存症になぜなってしまうのでしょうか。イギリスの研究結果で興味深い報告されています。

ゲーム開始前と終了後で比べると、幸福や充実といった心地よさを感じるドーパミンの放出が2倍に増えることが確認されています。覚せい剤を静脈注射したときのドーパミンは2.3倍とされています。覚せい剤に匹敵する量です。「デジタル・ヘロイン」という言葉もあるほどです。脳の働きの一部として心地よさを一度覚えると繰り返し求めるようになります。そのために依存性が出てきてしまいます。

さらに、本人の生活や性格も関係します。自分の衝動や欲望をコントロールが上手くできなる、対人関係や会社の仕事にストレスを感じている、自分の思っていることが言えないなどがあると脳はバランスをとろうとしてゲームで覚えた心地よさを求めるようになります。

ほかにも、承認欲求といって誰かから自分を認めてもらいたい、注目されたいなどの感情が強い人もゲームの世界に自分を求めるというケースもあります。

中国の研究では大脳に悪影響を及ぼすことが報告されています。大脳のネットワークに異常が発生して正常に大脳の働きができなり、怒りっぽくなる、理性が効かなくなる、無気力になる、うつ状態や情緒不安定になる、注意力の低下する、自閉的な傾向が強まると報告されています。別の中国の研究では脳内でアルコール依存症と同じ変化が起きることがわかっています。

写真はイメージです。photo by pixaboy

ゲームをやっている方は、自分がゲーム依存症かどうか気になりますよね。しかし、気がついていない人や認めようとしない人が多いといわれています。ゲーム依存症は「否認の病気」といわれています。気が付いても認めようとしない人は少なくありません。

ゲーム依存症の特徴は個人差がありますが、どのような特徴があるのでしょうか。

・ゲームに没頭してしまう。長い間に渡ってゲームを続けている。ゲームをしていな時もゲームのことを考えてしまう。

・ゲームをしていない時にイライラする、なんか不安な感じなる、機嫌が悪くなる、ほかのことにやる気がおきない。

・惰性でゲームをやっていると感じることがあるがやめられない。やめようとした事があるがやめられなかった。

・少しだけのつもりでゲームをやり始め、気が付くと長い時間ゲームをやっている。

・今までに持っていた趣味や遊びに感心がなくなった。

・ゲームを夜遅くまでやっていて、いつも寝不足を感じる。ゲームをやるために早い時間に起きることがある。ゲームのために時間を合わせて行動する。

・ほかの人とゲームの話をするときに、「そんなにやっていないよ」など嘘をつくようなる。

・ゲームについて他人から否定されると怒りの感情がおきる。ゲームをやるのは自分の勝手だと思う。

・仕事の昼休みや休憩時間にほとんどゲームをやっている。仕事中でもゲームをやることがある。ゲームのために会社を休んだことがある。

・家庭では食事や入浴など以外はゲームから離れられない。家族との会話が少なった。夫婦仲が悪くなった。ゲームをしている時に家族に話しかけられるとイラッとする。

・ゲームをやっていると安心する。ゲーム内で知り合ったほかの仲間のプレーヤーと交流するのが楽しい。仲間のために無理をしたことがある。

・課金に歯止めが効かなくなっている。あと、いくらまでと思っても欲しいものが手に入るまで課金をやめられない。課金するために借金をした(クレジットカード払い含みます)。

具体的な依存症への危険度の判定はネット依存症の専門外来がある久里浜医療センターのネット依存治療部門ページにスクリーングテストがありますので試してみてください。

写真はイメージです。photo by pixaboy

ここまで読んでいかがだったでしょうか。思い当たることはありましたか。<後編>ではゲーム依存症になるとどうなるか、ゲーム依存症をやめるにはといったところをみていきましょう。

 

 

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