歯科医療の骨再生誘導・骨移植術とは

歯周病とは、歯垢(プラーク)の中の細菌が原因で歯肉に炎症が起こり、少しずつ歯を支えている骨を溶かしていく病気のことです。初期の段階では殆ど自覚症状がないため、気づいたら重度になり骨が溶けてしまっている場合があります。

また、歯を失った後は、歯だけでなく骨も緩やかに吸収していきます。


写真はイメージです。 photo by illust AC

この一度溶けてしまった骨、何とか再生する方法はなのでしょうか。

 

骨折してもまた骨がくっつくように、骨は再生能力を持っています。

しかし、骨に比べ歯肉の再生能力のほうが早いために、歯周病にかかり骨が溶け、歯と歯肉の間に隙間ができると骨の細胞より先に歯肉の細胞が隙間を埋めていってしまい、骨は再生することができません。

 

そこで歯肉が入り込むのを防ぐ薬剤を使用します。

エムドゲイン・ゲルという保険適用外の自費の薬剤になりますが、骨欠損部に注入し歯肉が入り込むのを防ぎ、骨の再生を促します。


写真はイメージです。 photo by illust AC

また、GTR法は、再生したい部分にメンブレンと呼ばれる膜を置き、骨が回復するスペースを確保し骨再生を促します。歯周組織が回復したら膜を取り除く非吸収性の膜と、吸収性の膜が存在しますが、ものによって保険適用のものと適用外があります。

エムドゲインに比べると術式は難しいため専門性が必要です。

 

そのほか、GBR法という骨再生誘導法や骨移植も存在します。

GBR法は、骨を増やしたい部分に人工骨補填材をいれ、メンブレンで覆い骨の再生を誘導します。新しい骨が形成されるには数か月から半年ほどかかります。

骨移植とは、顎の骨がない部位に自家骨と呼ばれる自分の骨や、人工の骨を移植することです。


写真はイメージです。 photo by photoAC

自家骨は、骨を失った部位の周囲から骨芽細胞を誘導して骨形成を促す骨誘導能という能力が高く、使用する骨を口腔内から比較的容易に採取できる上、安全性が高いです。

その点、人工骨は、骨芽細胞を活性化し骨形成を促す能力骨伝導能は認められていますが、骨芽細胞を誘導する骨誘導能はありません。

そのため自家骨のほうがメリットあるように思いますが、インプラント時に削合した骨を使用するときは別ですが、下顎枝、オトガイ部、骨隆起という骨の突起から持ってくる場合は、口腔内に手術部位が2ヶ所必要となるため患者様の負担が少し大きくなります。

■まとめ

以上のように様々な骨再生方法が存在しますが、症例によって適応の場合と適応ではない場合があります。また、再生できる骨の量には限界があるため、骨の吸収状態によって難易度が変わります。

歯周病に罹患しているのであれば、まずは付着している歯石を除去しプラークコントロールをして安定させなければいけません。


写真はイメージです。 photo by photoAC

今ある歯の周りの骨を少しでも再生させたい、インプラントをするのに骨が足りないため骨を作りたい、もし何らかの理由で骨再生を希望される方がいましたら歯周病であれば歯周病専門医へ、インプラントであればインプラント専門医へご相談されてみてください。

 

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