「先発医薬品」と「ジェネリック医薬品」って?なぜ「ジェネリック」を勧めるの?

風邪を引いてしまったとき、花粉症の時期、ニキビができてしまったとき、、、などなど、人それぞれ病院やクリニックにかかる理由は違いますが、投薬治療が選択された場合に「処方せん」をもらって調剤薬局に行き、薬をもらうという点は共通します。

その調剤薬局でよく言われるのが「ジェネリックでご用意しましょうか?」というひとこと。「ジェネリックってなに?」と聞くのは多少の勇気がいる、、そんな方のためにこの記事では「ジェネリック医薬品」と、勧められる理由について解説します。 


写真はイメージです。 photo by photoAC

◯「先発医薬品」と「ジェネリック医薬品」

調剤薬局でもらうお薬には大きく分けて「先発医薬品」と「ジェネリック医薬品」があります。先発医薬品を「新薬」と呼んでいらっしゃる方もいますね。

製薬協(日本製薬工業協会)によると、先発医薬品を『長い研究開発期間をかけて新しい成分の有効性・安全性が確認された後、国の承認を受けて発売された医薬品のこと』としています。

対してジェネリック医薬品は、製薬協によると『新薬の特許権存続期間が満了すると、先発医薬品(新薬/新医薬品)と同じ有効成分の医薬品を後発医薬品(ジェネリック医薬品)として、他の製薬企業が製造・販売することが可能』とされているものになります。 

ここからわかることは、

・先発医薬品とジェネリック医薬品は同じ有効成分だということ

・先発医薬品には「長い研究開発期間」がかかっているということ

・ジェネリック医薬品は「他の製薬企業が製造・販売することが可能」なこと

という3点です。 


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◯ジェネリック医薬品の特徴

ジェネリック医薬品の特徴として思い浮かぶのはやはり「価格(≒自己負担額)が安い」ということではないでしょうか。安いのに信頼できるの?大丈夫なの?と思ってしまいますが、前述のようにジェネリック医薬品は先発品と有効成分は同じです。

なぜ同じ有効成分なのに安いのか?そのポイントは「長い研究開発期間」と「他企業の製造・販売」にあります。

 

◯先発医薬品が高価な理由

先発医薬品、いわゆる新薬は0から1を作る作業ですので、数々の研究員の方々が試行錯誤を繰り返し製品にします。製薬協によると、新薬の開発が成功する確率は12,888分の1だそう。そもそも確率が限りなく低い上に、莫大な予算と年月がつぎ込まれ、成功しても臨床実験を繰り返し…と製品化するまでには気の遠くなるような時間とお金が必要になります。薬には1錠いくらという薬価、すなわち価格が定められますが、薬が売れていくことで製薬会社は開発費を回収し、利益を上げていきます。

薬価は国が決定しますが、製薬会社が開発費を回収できるかどうかも薬価に左右されますので、新薬の薬価は高めに設定されます。(1錠1,000円以上するものも!)

開発費という莫大なお金がかかることから、先発医薬品は高価なんですね。


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◯ジェネリック医薬品が安価な理由

前述のように先発医薬品は研究開発費がかかります。しかしジェネリック医薬品は「特許の切れた先発医薬品と同じ有効成分の医薬品を他企業が製造・販売」できるのです。すなわち、新薬が高い大きな原因の研究開発費がほぼゼロで済むということです!※1

そのため薬価は安く設定されるものの企業が赤字になるということもなく、私達の負担額も少なくなるということなんですね。
 

◯ジェネリック医薬品を薬局で勧める理由

ジェネリック医薬品が安価だということはご理解いただけたと思いますが、なぜ薬局で勧められるのか。その理由は日本の保険制度にあります。日本に住む大半の方は国民健康保険や社会保険に加入されており、自己負担額は1〜3割です。残りの7〜9割は自治体の予算や企業の社会保険費から支払われています。

最近、「医療費が国や自治体の予算を圧迫している」という報道がありますが、いわゆる薬代も小さなものではありません。お薬が必要な方から薬を取り上げたり、自己負担額の増額を求めたりするわけにはいきません。しかし、国家や自治体の予算は無限にあるものではありません。そのため、せめて価格の安いジェネリック医薬品にしてもらうために薬局の方からも患者様にご理解頂き、勧めてくださいと国からも推奨されています。そのため、薬局ではジェネリック医薬品が勧められるのです。


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 ◯まとめ

今回は先発医薬品とジェネリック医薬品の違いについて解説しました。「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、ジェネリック医薬品は必ずしもそうではないということがご理解頂けたのではないかと思います。

ジェネリック医薬品が勧められる理由についても述べましたが、あなたが積極的に選択されることで医療費が削減され、自治体経営の健全化に貢献できるかもしれません。

将来や自分が住む自治体のことを考え、ジェネリック医薬品という選択肢を持ってみるのはいかがでしょうか?

 ※1錠剤の小型化やフレーバーをつけるなどの研究開発は除く

 

 

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