タバコの三大有害物質(ニコチン・タール・一酸化炭素) なぜ、健康に悪いの?

[タバコを吸っていますか]

タバコを吸う方にとって、昨今は受動喫煙の問題が大きく取り上げられ、公道上でのタバコの全面禁煙、健康増進法での職場や施設の全面禁煙化など肩身が狭い思いをされているのではないでしょうか。外でタバコを吸う場所探すのも大変ですよね。

タバコの健康への被害の周知やタバコの価格改正などもあり、喫煙人口は年々減ってきています。JTの発表によると「2016年は2,027万人 2017年は1,917万人」と数字上でもわかります。そのような中で電子タバコが流行していますね。

それでもタバコを吸う人、やめようと思ったけどやめられない人は多いのではないでしょうか。麻薬やアルコールなどいろいろな依存症がありますが、タバコは麻薬やアルコールより依存症になりやく、依存症になってしまうとやめることがアルコールや麻薬と同じぐらい難しいものです。

タバコは約4,000種類の化学物質を含み、そのなかの200種類以上が有害化学物質、60種類以上の発がん物質と言われています。タバコの吸う人とほうが吸わない人に比べ、余命が10年も短くなります。死亡原因をみてみると男性の22%、女性の13%はタバコが死因に関与していることが指摘されています。

写真はイメージです。photo by pixaboy

とくに、タバコの中に含まれる「タール、ニコチン、一酸化炭素」は「タバコの三大有害物質」といわれています。今回は、三大有害物質についてみていきましょう。

[タバコの三大有害物質]

○タール

タールは、有機物質が熱分解されることで発生する黒褐色の油状の液体です。たばこを吸う人はわかると思いますが、たばこを吸った時のフィルターが茶色くなるのがタールです。粘り気があって歯も茶色く変色します。

吸っても血液中にほとんど吸収されることはありませんが、独特の粘り気によって肺、喉などに付着して蓄積されていきます。また、タールは簡単にとれるものではありません。

タールには発がん性物質が多く含まれています。肺、膀胱、舌、咽頭などのがんの病気のリスクが高くなります。

粘着性が強い物質なので、喉や気道に溜まってしまうと呼吸器官がダメージをうけてしまう可能性があります。慢性気管支炎、気管支喘息などを引き起こします。

○ニコチン

タバコに天然成分としてニコチンは含まれています。タバコを吸うと約8秒で脳を刺激し、血中濃度は1分~3分で高くなります。ニコチンには発がん性物質は含まれていないとされています。

タバコの葉photo by pixaboy

ニコチンはとても毒性が高く、致死量は30mg~60mgとされています。タバコ1本に10mg~20mg含まれ、タバコを吸った場合に1本あたり3mgほど摂取することになります。

また、脳内の受容体に作用してドーパミンという物質を放出させます。ドーパミンは快楽を感じさせる作用のある物質で、「タバコがおいしい」、「タバコを吸うと落ちつく」など感じるのはドーパミンの影響です。ドーパミンの影響は長くは続かず、タバコを吸ってしまうことにつながります。

ニコチンには血管収縮や心拍数を増加させる作用もあります。心臓、血管の負担が増加します。狭心症や心筋梗塞の引き金になる場合や動脈硬化の原因になります。循環器系以外に、血流が悪くなるために胃の動きの低下、肩こり、頭痛、手足の冷えなどの症状もでてきます。

女性ホルモンの分泌を低下さ、生理不順や月経前症候群、不妊の一因にもあげられています。水溶性のため、妊娠中の場合には胎児にも影響を及ぼす場合があります。

○一酸化炭素

炭素を含む物質を燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、酸素が不十分な状態で燃焼した場合は一酸化炭素が発生します。タバコという狭い空間の中では、不完全燃焼がおき一酸化炭素が発生します。

一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンに非常に結びつきやすい性質を持っています。ヘモグロビンには私たちのからだのすみずみまで酸素運ぶ役割があります。一酸化炭素は酸素がヘモグロビンに結びつく邪魔をします。そのために酸素が欠乏した状態になります。

タバコを吸っている人の血中の一酸化炭素濃度は吸っていない人の3倍~7倍になります。時間が経てば血中の一酸化炭素は減っていきますが、また、次のタバコを吸ってしまいますよね。タバコを吸っていると息切れがしやすいのはそのためです。慢性の酸欠状態になって心肺機能が低下した状態になっているからです。

写真はイメージです。photo by irasutoya

一酸化炭素がヘモグロビンと結びついた状態は3~4時間は持続します。タバコを吸い続けると酸欠状態が続くことになります。その結果、運動能力や脳の働きも低下します。頭痛、疲労感、倦怠感、めまいなどを引き起こします。不足している酸素量を補おうと血中の赤血球が必要以上に増加し、血液がドロドロとなることで動脈硬化の原因にもなります。

[禁煙を考えてみては]

タバコの煙は、吸っている本人はもちろんのこと、周りの人にも影響を及ぼす「受動喫煙」が知られています。タバコを吸った煙に含まれるさまざまな有害物質は、吸っている本人が直接吸い込む主流煙よりも、副流煙の方が有害物質を多く含みます。

主流煙を「1」とした場合には、ニコチン2.8倍、タール3.4倍、一酸化炭素4.7倍といわれています。受動喫煙を余儀なくされている人は、タバコを吸っている以上の健康被害を受けているかもしれません。

禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。しかし、ニコチン依存症になってしまうとなかなかやめられません。自分の意志の力でやめられる人もいますが、ニコチン依存症は病気だという認識を持つことも大事です。

写真はイメージです。photo by pixaboy

禁煙外来を耳にすることがあると思いますが、禁煙外来では、お医者さんがスケジュールを組み、投薬や相談などで禁煙のサポートをしてくれます。ただ、禁煙できるかは患者さん次第のところもあります。禁煙する前に、禁煙しようと思った理由やいままでタバコでどれだけ無駄なお金を使ったか書きだしておいて、心が揺るいだら見直してみるのもひとつの手かもしれません。

 

 

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