添付文書が20年ぶりに変わる

適切な薬の使用に大切な役割をはたす添付文書ですが、平成31年4月から医療用医薬品の記載要領などが変更となる方針が発表されました。

これまでの添付文書と問題

医薬品の添付文書は、禁忌や効果・効能、用法・用量、副作用など、適正に医薬品を使用する上で重要となる情報を記した公的文書です。医薬品に必ず添付することが薬事法で決まっており、製造販売業者が作成する医薬品の基本的情報源となっています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

添付文書の記載項目や記載の順序は決められており、それに沿って作成されます。これまでの添付文書は、平成9年に厚生労働省から発出された通知に基づき作られていますが、20年間のあいだに、医療の進歩や高齢化などさまざまな状況が変化していることや、薬害の発生などから、記載要領の見直しをもとめる声があがっていました。

そこで、厚生労働省では、厚生労働省科学研究での調査などをもとに、平成29年から記載要領を変更する方針をしめしました。

何が変わるのか?

おもな改定内容は、以下の通りです。

○「原則禁忌」の廃止
○「慎重投与」の廃止
○「高齢者への投与」、「妊婦・産婦・授乳婦等への投与」、「小児等への投与」の廃止
○「特定患者集団への投与」の新設
○ 項目の通し番号の設定

原則禁忌については、禁忌と同等と捉えるか、慎重投与と同等と扱うかで解釈が統一されておらず、問題が指摘されていました。また、慎重投与や重要な基本的注意、原則禁忌などの記載には重複する部分が多いなどの問題もあがっていました。そこで、新しい記載要領では、「原則禁忌」をなくし、「禁忌」または新設された「特定の背景を有する患者に関する注意」に記すよう変更されました。

また、「慎重投与」や、「高齢者や妊婦、小児など特定の患者群への投与」は、「特定の背景を有する患者に関する注意」に集約し、容易に確認することができるように改正されています。

そのほか、項目に通し番号をふることにより、いち早く必要な情報が確認できるよう、様式が変更となっています。

記載要領の変更は、平成31年4月1日に施行する予定となっており、5年間の経過措置期間が設けられています。


写真はイメージです。 photo by illust AC

今回、約20年ぶりに添付文書の記載要領が変更される方針が、厚生労働省から発表されました。このことにより、さらなる患者さんの安全確保、医薬品の適正使用につながることが期待されます。

 

 

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