10代~20代に多い虫垂炎とは?虫垂炎になったら必ず手術が必要?

虫垂とは小腸から大腸につながる下の部分に突き出た5~10cmほどの突起物で、ここに炎症がおきたものを虫垂炎とよびます。ではこの虫垂炎の原因は何なのでしょうか?進行による症状や治療などについて詳しくご紹介します。

 

〇虫垂炎?盲腸?

急激な腹痛が出る病気を「急性腹症」といいますが、この中でも頻度が高いのが虫垂炎です。一般的に「盲腸」や「盲腸炎」として知られていますが、これは、昔は虫垂炎の発見が遅れて盲腸まで炎症が広がってから見つかることが多かったためにこのような通称で知られています。


大腸の構造 photo by illust AC

〇虫垂炎の進行と症状

虫垂炎は進行によって3つの段階に分かれ、それぞれ症状が異なります。

第一段階は「カタル性虫垂炎」と言って、粘膜層の炎症になります。これは虫垂が腫れて充血した状態で、上腹部の不快感や、間欠的な痛みが主な症状となります。

この状態から進行すると、第二段階の「蜂窩織炎性虫垂炎」という状態になります。これは虫垂の粘膜層から全層に炎症が広がった状態で、内部に膿がたまっていることもあります。進行するにつれて上腹部の痛みが強くなり、発熱や吐き気、嘔吐といった症状が出てきます。

そして最も進行したものが、第三段階の「壊疽性虫垂炎」という状態です。これは炎症がさらに進み、虫垂の壁が壊死したり、破れてしまっている状態です。ひどいと内容物が腹腔内に漏れ出してしまうこともあり、腹膜炎をおこしたり、場合によっては命に関わることもあるため、早急な治療が必要になります。症状としては、右下腹部を中心とした激しい痛みが持続します。腹膜炎を合併した場合には、痛みが下腹部全体に広がり、高熱を出すこともあります。


写真はイメージです。 photo by photo AC

〇虫垂炎の治療

虫垂炎の治療としては、以前は上記のような段階に関わらず、虫垂を切除する手術が行われていたこともありました。しかし最近では、初期である「カタル性虫垂炎」のものは手術をせずに、抗生剤による薬物療法が行われます。ただし薬物療法による治療では10~20%ほどは再発します。

虫垂炎が、蜂窩織炎性虫垂炎や壊疽性虫垂炎まで進行した場合は手術が行われます。どちらも炎症のある部分を取り除くのですが、方法としてはお腹をあけて切除する方法と、腹腔鏡を使用する方法があります。従来はお腹をあける方法が一般的でしたが、切除範囲が狭い場合や、腹膜炎の合併がない場合などは腹腔鏡手術が行われることが増えてきています。

開腹手術は視野が広いため、お腹の中に膿がたまっている場合や、腹膜炎を合併している場合などにしっかりと取り切れることがメリットです。ただ、およそ3~8cmほどの傷をあけるため、体への負担もかかり、傷も目立ちやすくなるといったデメリットもあります。

一方腹腔鏡による手術は傷が小さいため身体への負担も少なく、入院期間も短くなることがメリットとされます。逆に、治療費が開腹手術に比べて高くなってしまうことや、視野が狭いために抗範囲に腹膜炎を合併している場合には適さないなどといったデメリットもあります。


写真はイメージです。 photo by photo AC

〇まとめ

虫垂炎は、進行具合によっても症状が異なりますが、早期に治療をすることで腹膜炎などの合併症を防ぎ、死亡のリスクも大幅に減らすことができます。そのため虫垂炎を疑ったら早めに病院を受診しましょう。虫垂炎は自然には治りません。早期の発見と治療が重要なので、ただの腹痛と軽視せず、おかしいとおもったら虫垂炎に限らず、早めの受診を心がけましょう。

 

 

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