アメリカで高血圧ガイドラインが変更に 基準値が130/80mmHgに

2017年にアメリカの米国心臓学会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)を中心とした11の学術団体は連名で、新たな高血圧ガイドラインを発表しました。


写真はイメージです。 photo by photo AC

アメリカの新たな高血圧ガイドラインの中身

新たなガイドラインでは、「正常血圧」を収縮期血圧<120 mmHg及び拡張期血圧<80 mmHg、「血圧の上昇(elevated)」を収縮期血圧120〜129 mmHg、拡張期血圧<80 mmHgとし、「ステージⅠの高血圧」を収縮期血圧130〜139 mmHg、拡張期血圧80~89 mmHg、「ステージⅡの高血圧」を収縮期血圧>140 mmHg、拡張期血圧>90 mmHgと定めています。

今回の決定で、以前は「高血圧前症」と診断されていた、収縮期血圧130〜139 mmHg、拡張期血圧80~89 mmHgの方たちが、高血圧症に組み込まれることになります。

今回の改訂で、高血圧症の患者さんは増えることが予測されます。

とくに糖尿病合併患者さんでは、130/80mmHg以上であれば、薬物治療を開始し、130/80mmHg未満の降圧目標としています。慢性腎臓病患者さんでは、薬物治療開始の時期はないものの、こちらも130/80mmHg未満の降圧目標がしめされています。

ただ、いっぽうで65歳以上の患者さんでは、その後の予後などを考慮して、高血圧症の治療をおこなわないという選択肢も付記されています。


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日本の高血圧症はどこに線をひくのか

厚生労働省でおこなわれている「患者調査」によると、平成26年度のデータで日本には、1000万人以上の継続的に治療をうけている高血圧患者さんがいて、実際には数千万人の高血圧患者さんがいると推計されいます。また、平成27度のデータでは、収縮期(最高)血圧の平均値は男性134.3 mmHg、女性127.3 mmHg です。

このデータをもとにして、もし、アメリカの新しいガイドラインを適用すると、日本人の半数近くが高血圧症の診断をうけることになります。他方では、日本全体の高齢化も進んできています。

世界にも類を見ない高齢化社会を迎えつつ日本では、今後、何歳までの人を治療のターゲットにし、どういったところで線を引いて高血圧症と診断し、治療目標を設定していくのでしょうか。


写真はイメージです。 photo by photo AC

2004年以降、5年ごとに改正されている日本の高血圧症ガイドラインは、いままでと同じペースで改正されれば、次回は、2019年に改正されることになります。

今回のアメリカの高血圧症ガイドラインの変更をうけて、日本での高血圧症治療がどのように変化するのか注目があつまります。

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