医者じゃなくても医療行為ができる?特定看護師とは何か

深刻な医師不足と高齢化社会の進行によって、看護師の医療ニーズは日々高まっています。

一般的に医療行為と言われるものには医師だけが実施できる「絶対的医行為」と医療難易度の高い「特定行為」、看護師も医師の指示のもと行うことができる「一般的医行為」があります。

あまり知られてはいませんが、看護師一人では患者に対して医療行為を行うことができないのです。


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「特定看護師」と「特定行為」とは

2015年から「特定行為に関わる看護師の研修制度」が始まりました。

この研修を受けることで看護師が行うことのできる医療行為の範囲が広がり、特定看護師としてより高度な医療に携わることが可能となりました。

この高度な医療行為が「特定行為」に当てはまります。具体的なものとしては厚生労働省のサイトに記載されています。

出典:厚生労働省ホームページ

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.htm

例えば、

・経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの深さの調整

・酸素濃度や換気様式、呼吸回数、一回換気量等の人工呼吸器の設定条件の変更

 

・.胃ろうカテーテル・腸ろうカテーテル・胃ろうボタンの交換

・.膀胱ろうカテーテルの交換

・末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入

などが挙げられます。

 

特定看護師の今後は?

2018年現在、特定看護師といった名称はあるものの資格にはなっていません。

現在は、「特定行為研修」を修了することで特定看護師として上記にあげた特定行為を行うことができるようになります。

研修を受けるためには、認定看護師の資格取得後に5年以上の経験を有すること、医療分野における大学院修士課程を修了していること、第三者機関から知識と能力の確認・評価を得ること、出張および研修等で、研修中の身分が保証されていることなどの厳しい条件をクリアする必要があります。

現在、通常の看護師が行うことのできる一般的医行為でさえ法律での線引きは曖昧です。患者の安全性に配慮して医療行為はすべて医師が行うとしている場所もあるなど、病院によってできる行為に差があるのが現状と言えるでしょう。

特定看護師を導入することで、専門性の高い看護師の育成と医師の負担を軽減することができ、より多くの患者を救うことができると考えられていますが、その分さらに看護師の責任・重圧が増えることは確実と思われます。


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今後より看護師のできる医療行為が増えてくることも考えられますが、そうなってくると患者に対する医療の安全性が揺らいでしまうことも予想できるのです。

実際、日本医師会・薬剤師会からは安全性を理由として特定看護師に対する反対意見が出されています。2016年に初の特定看護師が誕生しましたが、厚生労働省は2025年までに10万人を超える特定看護師を養成したいという意向を示しています。賛否両論な特定看護師制度ですが、今後、良くも悪くも医療業界に影響を及ぼしていくでしょう。

 

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