正しい知識を持って対応しよう〜パニック障害について

パニック障害…最近では報道でも取り上げられるようになりました。昔からあった病気にも関わらず、広く知られ、医療現場でも治療方針が定まってきたのはこの10年ほどのことです。このため、あちこちを受診して、人知れず苦しんでいる患者さんは少なくないです。

「パニック障害はよくなる病気である」ということを知ってほしいと思います。

パニック障害とは

まず、何の前触れもなく突然に強い恐怖や不安に襲われます。同時に動悸や震え、息苦しさ、めまいなどが起こり、「死んでしまうのではないか」と思うほどの恐怖を覚えます。


写真はイメージです。photo by photo AC

発作は急速にピークを迎えますが30分後くらいにはおさまっています。

心臓の病気やメニエール病などを疑い、あちこちを受診しても「体に異常はない」と言われてしまうことも多いでしょう。

しかし、原因がわからないところに昼夜と場所を問わず発作は繰り返します。「気のせいじゃないの」「心が弱いから」とまで言われてしまい、理解されないこともますます不安を煽ってしまうでしょう。

このように、パニック障害はとても辛い病気なのです。

パニック発作の診断基準

  • 動悸
  • 発汗
  • ふるえ
  • 息切れ感や息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛または胸のあたりの不快感
  • 吐き気または腹部不快感
  • めまい、ふらつき
  • 冷感、悪寒、熱感
  • 感覚のマヒなど、異常な感覚
  • 現実が現実でない気がする
  • 自分をコントロールできなくなる、気が狂ってしまうなどの恐怖
  • 死ぬことに対する恐怖

 

突然強い恐怖や不快感が起こり、この中の4つ以上が該当する状態が続けば、パニック障害である可能性は高いでしょう。


写真はイメージです。photo by photo AC

最初の不安から1ヶ月して、「また発作が起きるのではないか」という「予期不安」があれば、精神科を受診しましょう。 

治療は早ければ早いほどよい

「予期不安」とは、発作の恐怖を思い出し、その発作が起こった状況を避けたり、恐怖を持つようになることです。

そのため、仕事や対人関係にも影響が出て、うつ病を併発することもあります。

パニック発作を起こした人はその辛さから体の異常を疑い、まず内科を受診する人が9割に上るとされています。

  • 不整脈、狭心症などの心臓の病気
  • バセドウ病、褐色細胞腫などのホルモンの病気
  • メニエール病などの耳鼻科の病気
  • 過換気症候群、側頭葉てんかん、低血糖など

このような病気と誤診されることはとても多いのです。

精神科に抵抗がある人も多いと思いますが、大きな精神病院には内科医も常駐しており、CTや心電図、レントゲンもあるので、その日のうちに診断がつきます。

強い身体症状が出るが、脳の異常が原因

パニック障害の原因は「脳の機能障害」であることがわかってきています。脳の一番奥にある扁桃体と青斑核の誤作動で、恐怖感を突然伝達し、ノルアドレナリンという神経を興奮させる神経伝達物質を放出します。

そのため脳全体が誤作動を起こし、様々な症状が出るとも言われています。


写真はイメージです。 photo by pixabay

ノルアドレナリンをコントロールするのはセロトニンです。

現在では、セロトニンを有効に活用する薬(SSRI)があり、この抗うつ剤が第一選択薬となっています。パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)がよく処方されます。しかし、効果が出るのに半月以上かかるため、最初に、即効性のある抗不安剤のエチゾラム(デパス)などを併用していきます。

脳の伝達異常を薬で補いながら、不安をとりのぞき憂鬱さを改善していきます。

パニック障害は不安症の一種であり、薬物療法と精神療法の二つがとても重要です。小さなクリニックでも臨床心理士がいてカウンセリングを行なっているところもたくさんありますので、まずはHPや電話で予約したり、都道府県の「精神医療センター」に相談してみてください。

パニック障害は放置したり治療が遅れたりすると慢性化し、他の病気を併発したりしてその後とても長引いてしまう病気です。

1日も早く良い精神科医に巡り合えることを望みます。

 

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