「毒と薬は紙一重」は本当?~毒と薬の意外な関係~

毒と薬は紙一重」と言われますよね。

毒と言うと、人体に悪影響を及ぼす物で
薬とは、健康を取り戻したり症状を軽くするために
使用するものというイメージがあります。


写真はイメージです。 photo by PAKUTASO

そんな真逆のイメージの「毒」と「薬」が紙一重って
どうゆうことなのでしょう。

今回は、そんな不思議な言われ方をする
毒と薬の関係について紹介します。

【毒と薬について】

毒と言うと、何を思い出すでしょうか。

身近なものだと、
毒キノコ、毒草、フグ毒・・・

毒キノコ
写真はイメージです。 photo by photo AC

実際に食べてはいけませんが、
食べ物に近い物にも含まれていますよね。

そう、ヒトが生きて行くためには、
食べ物を摂取しなければいけないけれど、
自然界には毒が含まれている物も多いですよね。

そこで人類は古くから毒について知っておく必要がありました。
記録に残っているものでも、古代エジプト文明の時代に
残された粘土板にも「毒」の記述があります。

そんな古くからヒトの側にあった毒ですが、
「薬と紙一重」と言われるのには理由があります。

実は、人体を構成する細胞のレベルで見ると、
毒も薬も区別できないのです。

ちょっとビックリすることかもしれませんが、
細胞にとっては、毒も薬も同じ働きをしているのです。

しかし、働きが同じでも実は働いている場所が違ったりします。
また、濃度も、毒となるか薬となるか非常に重要な要因です。

この働いている場所と濃度によって、同じ働きをしていても、
結果として人体に悪影響を及ぼせばそれを「毒」と呼び、
人体に好都合な作用を示せば「薬」と呼んでいるのに過ぎないのです。

【毒から作られた薬】

毒と薬が、働き方という面で同じものだという事が
分かったところで、実際に毒が薬になった例を見てみましょう。

薬
写真はイメージです。 photo by photo AC

最も有名なものはペニシリンです。
ペニシリンは世界初の抗生物質として有名ですが、
由来はアオカビです。

また、アメリカドクトカゲという毒トカゲ由来の毒は、
膵臓の細胞を破壊する作用を持ちますが、この毒から開発されたエクセナチドという薬は2型糖尿病患者の血糖を
コントロールする薬剤として使われています。

毒をもつ植物も多く存在していますが、
筋弛緩剤の由来になった植物があります。

ツヅラフジ科コンドデンドロン属という植物から単離された
d-ツボクラリンという成分です。

ツボクラリンは南米の原住民が狩りの時に矢に塗って毒矢として使用していた混合物から発見されました。

少量でも傷口から体内に入ると、骨格筋を麻痺させて
呼吸困難にしてしまうのですが、口から体内に入っても
速やかに体から排出されるため毒性を示さないという
狩猟に都合の良い性質を持っています。

これを経験的に知って使用していた
南米の原住民の方はすごいですよね。

他にも、シャクヤクと甘草を組み合わせた漢方薬の
「芍薬甘草湯」も、ある種の筋弛緩剤として使用されます。

ここで挙げた薬剤の他にも、多くの毒由来の薬が存在しますが
ここでは有名なものや、ちょっと面白い物を挙げてみました。

【まとめ】

今回は「毒と薬の関係」について簡単にまとめました。
薬に副作用があるのは、
毒と働きが同じ為だということも、何となくわかりますよね。

薬を飲む際には、
「用法容量を守って、医師の指示に従って飲んでください」
という注意書きをよく見ますよね。
これは
容量を守らないと毒になってしまうかもしれないから
なんですね。

薬の飲み方は本当に重要なので、効果がないからと言って勝手に追加したり止めたりせずにお医者さんに相談してみる事が大事ですよね。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました