日本の保険制度は、医療保険と介護保険という二つの大きな柱で成り立っています。
医療保険・介護保険ともに、保険サービスを提供する事業者に支払われる報酬は、分野ごとに金額が細かく定められています。改定時にはこの金額が見直しされ、アップやダウンがなされる他、廃止や新設も行われます。その頻度は医療保険が2年に一度、介護保険は3年に一度です。そのため、両者の改定タイミングは6年ごとに一致します。
平成30年度は、この6年に一度のタイミングに合致します。いわゆるダブル改定の年です。
2000年に介護保険制度が誕生してから、3回目のダブル改定を迎えます。それぞれの改定ポイントについて解説していきましょう。
写真はイメージです。photo by photo AC
医療保険の改定ポイント
まずポイントとなる増減率ですが、診療報酬全体(薬の価格も含む)では1.19%のマイナス改定となりました。その他の主な変更点は以下のとおりです。
・初診料のアップ
大きな病院と街のかかりつけ病院との機能の分担が明確にするための措置です。かかりつけ医に紹介などの役割を今以上に求めるため、条件を満たすかかりつけ病院の初診料をアップします。3割負担で250円程度のアップが見込まれます。
・入院料の見直し
退院支援を行う回復期の病院について、評価基準を厳しくした上で入院料をアップします。
一日あたり600円程度のアップですが、患者さんの自己負担分にはほとんど影響しない見込みです。
・在宅医療の促進
かかりつけ医の訪問診療や夜間・休日の対応について評価をアップして、在宅医療を促進します。
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介護保険の改定ポイント
増減率は0.54%とわずかにアップしました。その他の主な変更点は以下のとおりです。
・看取り介護の推進
介護施設が外部の医師と連携して看取り支援を行う体制を整えた場合を評価します。
・機能訓練を強化
通所介護(デイサービス)・特別養護老人ホーム・ショートステイ等で、機能訓練指導員になることができる有資格者に、鍼灸師を追加して機能訓練を行える体制を強化します。また、外部の理学療法士などリハビリ専門職と連携して機能訓練を実施することを評価します。
・リハビリテーションに成果主義をさらに導入
介護保険で実施される訪問リハや通所リハに、実施したことで効果があったかどうかによって報酬に変化が出る仕組みを、さらに拡大します。
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・介護医療院の新設
これまでの介護療養病床に代わる新しい施設です。既存の介護施設で過ごすには医療的な問題があって難しい方に対して、病院ほどの手厚さではないものの必要な支援を行う施設です。
まとめ
6年に一度のダブル改定は、これまで大きな変革を伴うことが見られていました。しかし、今回の改定においては、目を引くようなサプライズはない印象です。しかし、社会保障費の上昇から、入院から在宅への移行を目指すという方向性は感じられる内容になっています。これからも安心して年を重ねられる保険制度であることを願いたいものです。
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