生活習慣病の基準が国によって異なる理由

健康診断でよく聞く言葉に「メタボリックシンドローム」というものがあります。内臓脂肪症候群とも言われるものです。

メタボリックシンドロームとは何?と感じたことがある人も多いと思います。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積によって生じている高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を診断するための定義です。メタボリックシンドロームの状態は心筋梗塞、脳梗塞になるリスクが高く、重大な状態になる前に介入する必要があるのです。

ところが、メタボリックシンドローム、つまり生活習慣病の定義は世界で統一されているわけではありません。


写真はイメージです。 photo by photo AC

日本ではウエスト周りの長さの判定が必須で、脂質異常症、高血圧、糖尿病の項目から二つ以上該当すればメタボリックシンドロームとなります。アメリカではどうかというと、ウエスト周りの長さ、脂質異常症、高血圧、糖尿病の項目から3つ以上該当すればメタボリックシンドロームとなります。

WHOの基準では、糖尿病が必須で、ウエスト周りの長さまたはBMI、脂質異常症、高血圧、腎機能の項目から2つ以上該当すればメタボリックシンドロームとなります。必須の項目からわかる通り、日本は肥満を、WHOは糖尿病を問題視していることがわかります。

 

国や立場によって生活習慣病の中でもどれに重きを置くかは違ってきます。

日本は肥満が少ない国なので肥満にどうしても注意が向きがちなのでしょう。逆に、WHOは世界的視点から健康を考えていて肥満と考えるBMIの数値も男女とも30以上と高く設定してあります。

世界的組織になると肥満という正確には病気ではない状態よりも糖尿病といった明確に健康に害を及ぼす疾患のほうを重要視しているようです。アメリカのウエスト周りの長さの基準は男性は日本人よりも15センチ以上長いのですが、女性は若干アメリカのほうが短いです。


写真はイメージです。 photo by photo AC

このように国、国際機関が定めるデータを見ると、それぞれの国の健康という観点への捉え方の違いが見受けられます。

もっと言うと健康という概念は立場によって異なり、その違いがメタボリックシンドロームの定義にも反映されていると言えます。メタボリックシンドロームは、生活習慣病の集合体です。

ということは、メタボリックシンドロームの捉え方を見ると国、立場による違いがはっきりみえてきます。どの基準が正しいということはなく、その立場、地域、文化などを反映して疾患の基準の差異が生じているのです。

 

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