もし、「あなたはがんです」という診断を下されたら、落ち着いていられる人の方が少ないのではないでしょうか。
治療に関する不安や、この先どのくらい生きていられるのかなど、一気にいろいろなことが頭の中を駆け巡って動揺することと思います。
自分ががんになったとしてもそうですが、家族や大切な人ががんになったとしても同じく不安になることでしょう。
患者もその家族も、より苦痛なく治療ができるよう様々な取り組みが行われています。
「がんサロン」とは
「がんサロン」という言葉はご存知でしょうか。
がんサロンとは、がん患者やその家族、がんを克服した人、遺族などが不安や悩みを話し合い、互いに支えあうための交流の場です。
全国の病院で開催されていて、
例えば聖隷三方原病院では、参加者は毎回3~5人ながらも7年間、松江市立病院のがん患者サロン「ハートフルサロン松江」は10 年以上も存続しています。
「がんサロン」の具体的な取り組み
具体的にどのような取り組みが行われているかというと、
日本海総合病院では、食に関する栄養士からのレクチャーがあるサロンや補正下着について話し合うサロン、化学治療における副作用について話し合うサロンなどが開催され、
ウィッグやケア帽子を実際に手に取ることができるようになっています。
川崎市立井田病院では、日本茶やハーブティーを飲みながら話し合うサロンが開催され、コンセプトが明確なため人が集まりやすく、男性も参加しやすい会になっています。
「がんサロン」の反響
こういった取り組みに、
「退院後、一人になるとパニックになることもあったが、がんサロンがあることで心強い」といった声や
「入院中からサロンに参加させてもらい、悲しい気持ちや辛い気持ちを聞いてもらっていた。サロンに出会えなかったら今の自分はないように思う。」
という声が聞かれ、患者さんの心の支えになっていることがわかります。
これまでは、退院後は病院のサポートがなくなり心細く感じる人も多かったようですが、
がんサロンは退院しても参加することのできるサロンがほとんどのため、一人で不安と戦わなくても良く強い安心感を得られます。
「がんサロン」で心身のケアを
がんサロンは、院内や院外で開催されているものなどその形は多岐に渡り、その日その時に参加した患者や家族が情報交換をするという気軽な場になっています。
どこのサロンでも、サロン内での会話や知りえた個人情報は口外しないという約束になっていて、参加者はお互いを尊重しながら安心して話し合えます。
心細い思いをしながら治療や療養をしてきた患者にとって、同じ病気を抱える人やその家族と交流できる場があることは非常に大きな心の支えとなります。
紹介したサロンのように、患者さんや家族が心身ともにケアされながら、治療を進めることができる環境の整備が進んでいます。
参照:厚生労働省
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