大麻とマリファナの話
大麻とマリファナについて耳にしたことがあると思います。ニュースなどで大麻の話題を聞くことがありますよね。マリファナも話題になることや海外の映画やドラマに出てきますね。この大麻とマリファナは同じものであることを知っていますか。
大麻とは、大麻草および大麻草から加工されたものすべてのことをいいます。以下はすべて大麻を指します。
・植物としての大麻草。
・葉や花を乾燥させたもの。マリファナやガンジャと呼ばれる。乾燥大麻ともいう。
・花や葉から樹液を圧縮して固形状の樹脂にしたもの。ハッシュやチャラスと呼ばれる。
・乾燥大麻や樹脂を溶剤で溶かし抽出した液体状のもの。ハッシュオイル、ハニーオイルと呼ばれる。
マリファナは大麻が加工されたもの中のひとつです。大麻を栽培するといいますが、マリファナを栽培するとは聞いたことはありませんよね。
大麻草にはいくつかの種類があります。大麻には約60種類のカンナビノイドという大麻独特の成分が含まれています。
この中で薬理作用があるテトラヒドロカンナビノール(THC)を多く含む「カンナビス・サティバ・エル」という品種のものからマリファナなどが作られます。
大麻にはTHC以外にもカンナビジオール(CBD)も多く含まれていてCBDにも多くの薬理作用があります。
大麻の歴史をひもとくと紀元前にまでさかのぼります。医療用、宗教の儀式、嗜好用、衣類など生活用品として長い歴史があります。現在、日本では「大麻取締法」で許可なく栽培、輸出入、所持は禁止されています。
生活用品にもちいられているものを除いて、大麻の使用方法は「医療用」と「嗜好用」の二つに別れます。
医療用とは文字通りに医療行為の一環として大麻をもちいるものです。医療への活用について多くの研究がなされていて、現在も研究が進められています。
嗜好用としてもちいると大麻に含まれるTHCによって、気分が快活や陽気になり軽い酩酊感を覚えます。その一方で感覚が過敏になって変調をきたすことや感情が不安定になることがあります。
大麻がからだに及ぼす影響として、ArzteZeitungにマリファナで高血圧の死亡リスクが高まる?という研究結果が紹介されました。
マリファナの高血圧への影響とは
欧州心臓病学会によるとマリファナを使用することにより、高血圧によって死亡リスクが高まると発表されました。
1213人の被験者を対象とした「国民健康・栄養調査データ」の分析結果から示されたものです。
この研究によるとマリファナ使用者が高血圧により死亡するリスクは、非使用者に比べて3.42倍にのぼり、継続使用年数に伴いそのリスクが増加するとしています。
今回の研究では、マリファナの使用と心臓病または脳血管疾患による死亡との関連性については見出すところまではいたっていません。
欧州心臓病学会のコミュニティに所属しているジョージア州立大学のYankey氏は「この結果は決して驚くべきものではない」と述べています。
マリファナの使用により、交感神経系が優位になって頻脈、心拍出量増加、血圧増加を起こして、心臓血管系に影響を与えることが知られているからです。
※大量にマリファナをもちいた場合には、逆に副交感神経優位になって徐脈や血圧低下を起こすことも知られています。
「マリファナの使用による心臓血管系疾患のリスクは喫煙によるものよりも大きいだろう」との見解も示されています。
今回の研究では、被験者として参加した喫煙者の人数が少なかったため、大規模な研究を行い再調査する必要があるとしています。
Yankey氏はこの研究の限界として、マリファナ使用者である被験者たちのアンケート調査の質問のなかで「今まで他にマリファナを使用した経験があるか」、「初めて使用を試みたのは何歳のときか」の回答を得ています。しかし、実際に被験者たちが日常的にマリファナを使用していたかどうかは定かではないと述べています。
マリファナが健康に及ぼす影響についての研究結果は、ほかにもいろいろと発表されています。医療用として使用することを認めている国もあります。
世界では大麻について、どのような対応をとっているのでしょうか。
世界の大麻事情
医療用大麻についての効能については「鎮痛作用、嘔吐抑制、食欲増進、筋肉の緊張緩和、鎮静作用」などがあるといわれています。
アメリカの半数の州、カナダ、イスラエル、ベルギー、オーストリア、オランダ、イギリス、スペイン、ドイツ、フィンランド、オーストラリア、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイなどの国で使用が認められています。
アメリカについては州単位では認められていますが、国としては認めていません。それぞれの国によって特定の疾患のみに使用を認めている、厳格な管理がなされているなど部分的な認可が多いようです。
嗜好用大麻については使用制限がありますが、国として合法と認めているのはウルグアイです。アメリカのワシントン州やコロラド州などいくつかの州でも認めています。スペインでは自分が育てた大麻の個人使用が認められています。少量の嗜好品としての大麻については認めているもしくは罪に問わない国もあります。
医療用大麻や嗜好用大麻を全く認めない国も数多くあります。厳罰で臨む国も少なくありません。それぞれの国で大麻に対する考え方は異なります。
大麻については、たとえば、「大麻が健康に害がある、ほかの麻薬への入り口になる」、「大麻は危険はない、他の麻薬への入り口にはならない」などの立場の異なる考え方がありますが、これらを肯定する研究結果もあれば否定する研究結果もあります。
WHOが「大麻規制の根拠があいまいだったとことを認め、大麻規制について正式な審査を受けてはなく、その資料も内容が不十分だったとして審査のための準備を開始した」と発表しています。
この発表は大麻について否定や肯定をしているのではなく、疫学的研究や応用研究がもっと必要であること述べています。
これらのことから、今後の大麻についてのさらなる研究やWHOの新たな見解が注目されるところです。
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